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上三川こぼれ話 第29話 「古代人の名前」

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栃木県上三川町

昨年8月、上神主・茂原官衙遺跡(かみこうぬし・もばらかんがいせき)から出土した刻書瓦(こくしょがわら)が国重要文化財に指定されました。瓦には奈良時代の河内郡に住んでいた「酒マ(さかべ)」や「神主マ(こうぬしべ)(」、「雀マ(さざき)」など約20姓100名ほどの氏名が刻まれています。奈良時代の役所跡からこれだけ人名瓦が出るのは他に例がありません。瓦は、役所内に1棟だけあった東西31m、南北9mの大型建物の屋根に使われていました。
この遺跡に見られる人名のオーソドックスな構成を「酒マ毛人」を例に解説します。名字が「酒マ」、名前が「毛人」です。7世紀後半に戸籍が導入される以前は、このような部民制(べみんせい)が一般的でした。なお、「マ」は「部」の旁(つくり)の部分のみを記したもので、便宜上カタカナの「マ」を使用しています。
これらの名字の多くは、当時の河内郡内にあった郷名と共通しています。おそらくは「酒マ毛人」は酒部郷(さかべごう)に住んでいる人物だったのでしょう。面白いことに隣の芳賀郡にしかない郷の名字も少数ですが見つかっていることです。もしかしたら親戚関係だったのでしょうか。
なぜ瓦に人名を刻んで役所に納めたのか、実は分かっていません。人名が男性名のみであることから何らかの税負担のあり方と考えられますが、今後の研究に期待したいところです。
今月22日(土)、ORIGAMIプラザにてこの遺跡の刻書瓦をテーマとしたシンポジウム「刻書瓦に見る古代下野国河内郡の世界」を開催します。詳しくは町ホームページ広報1月号31ページをご覧ください。

問合せ:生涯学習課 文化係
【電話】0285-56-3510

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