障がいのある方への就労支援 ~農福連携(のうふくれんけい)・ユニバーサル農業~
市地域自立支援協議会の就労部会では、障がい者の就労にかかる現状や課題について協議しています。今回は、農福連携についての活動を2つご紹介します。
農福連携とは、障がい者の方が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいをもって社会参画を実現していく取り組みのことです。この記事を通して、障がい者の方や職員の奮闘ぶりをお伝えできればと思います。なお、実際の事例をもとにしているため、法人名などは仮名となります。また、ご本人に掲載の許可をいただいています。
■活動1 農福連携・ユニバーサル農業研修会
8月22日、市地域自立支援協議会の就労部会は、農福連携・ユニバーサル農業研修会を開催しました。第1部では県農政部農政課から、とちぎセルプセンターの農福連携マッチング事業の事例を紹介していただきました。連携を希望する福祉事業所が少ない中で、連携を継続・成功させるには、双方の対話が重要であるとの話がありました。
第2部では市内で農福連携を実践しているWファームから、農業者側の状況を説明していただきました。現在、複数の福祉事業所と連携しており、毎日障がい者の方が確実に出社してくれるため、Wファームにゆとりや優しさが生まれたそうです。Wファームと連携している福祉施設のT事業所は、Wファームの助言により、もともと作っていた野菜や加工品の品質が向上したほか、販売ルートの拡大や、農業の専門知識の獲得にもつながったようです。特に、利用者に対して新しい作業を提供でき、工賃アップを図れたことが最大のメリットだったそうです。お互いに相手の立場を尊重し、信頼関係を構築しながら、双方の発展につながっている、すばらしい実践報告でした。
■活動2 国分寺特別支援学校の農業班の取り組み
県立国分寺特別支援学校は、知的発達に障がいのある児童生徒を対象にした学校です。小学部、中学部、高等部があり、今回は高等部の農業班の取り組みについてご紹介します。農業班は学校から徒歩10分ほどにある、Mtファームと連携しています。収穫した農作物が学校に届くと、土を落とす→分別→計量→シーラー→カット→袋詰め→納品という流れで、実際に小売店の店頭に陳列されるまでの工程を担います。農業班の経験を生かし、今年4月からMtファームの障がい者雇用で働き始めたNさんは、「仕事はとてもやりがいを感じるし、職員の方が優しい。畑づくりから収穫まで丁寧に教えていただいている。これからも色々なことを覚えてがんばりたい。」と話していました。
■キャリア教育
社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程を「キャリア発達」といいます。そして、生徒一人ひとりのキャリア発達を促す教育活動のことを「キャリア教育」といいます。特別支援学校のキャリア教育は、自立と社会参加を目指し、自らの生き方を主体的に考え、自己実現を果たしていくための能力や態度を育成することを目標としています。
■今後の展望
農業と福祉の分野が手を取り合うことで、農業者側にとっては働き手の確保や生産性の向上、障がいのある方には働く機会や収入の確保につながります。新たな活躍の場を提案するとともに、農業者側も作業工程や環境を見直し、経営の改善のきっかけとなることも期待できます。
問い合わせ先:社会福祉課
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