■親なき後(あと)について
障がいのあるお子さんがいるご家庭では、「親が将来、子どもの面倒をみられなくなったら、子どもはどうやって生活していくのか」という不安や心配を抱えている場合も多いと思います。
いわゆる「親なき後問題」は、親が亡くなった後のこととは限りません。親の高齢化や急な事故、病気などにより、障がいのあるお子さんの支援が難しくなってきた時点で、問題が表面化します。
◆「親なき後」を考えるポイント
まだ見ぬ将来のことを予測するのは難しいですが、漠然とした不安を抱えたままではなく、「親がいなくなったら、こんなことで困るだろうな」と、できるだけ具体的にイメージしておきましょう。
◇衣食住
・着替え
・入浴
・買い物
・食事
・掃除 など
◇金銭
・家計のやりくり
・通帳や貴重品の管理 など
◇医療・介護
・通院の頻度
・交通手段
・服薬
・薬の管理
・吸引などの医療行為 など
いずれも「自分でできるか」「助けが必要か」「どの程度の助けが必要か」を予測したうえで、考えるだけではなく、紙に書き出したり、誰かに相談するなどして言葉にすると、対策を考えやすくなります。
◆「親なき後」の備え(例)
(1)成年後見制度の利用
判断能力が不十分な方の財産や権利を守る制度です。本人や親に代わって、成年後見人等が必要な手続きを行います。
主な支援内容は、不動産や預貯金などの管理を行う「財産管理」と、医療や福祉サービスの手続きなどを行う「身上監護(しんじょうかんご)」です。
(2)任意後見人の契約
将来何かあった時に備えて、あらかじめ後見人を決めておくことを「任意後見制度」といいます。
(3)あすてらすの利用
障がいのある方や認知症の高齢者など、判断能力に不安があり、福祉サービスの利用や生活費の管理に困っている方が、地域で安心して生活できるように支援する制度です。
本人と社会福祉協議会が契約を結ぶため、本人が契約内容を理解し、利用する意思を示すことが必要です。
(4)入居先を決めておく
本人に頼れる親族がいる場合は、自宅などで生活する選択もあると思います。しかし、介護を担う家族の負担は、経済的にも体力的にも大きなものになる場合があります。
施設(グループホーム)などへの入居を考えている場合、事前に見学や体験して、入居先での生活に慣れておくことができます。
(5)通所施設やヘルパーの利用に慣れる
将来、ヘルパーなどの第三者が家に入ったり、自宅以外の場所で生活する可能性を考え、今のうちから家族以外の人との関わりに慣れておくことも方法の一つです。身近に信頼できるスタッフがいることで、安心感にもつながります。
◆親あるあいだに早めの準備を
「親なき後」は、突然やってくる場合もあります。日頃から家族でお金のこと、介護が必要になった時のことなどを話し合っておくことも必要です。また家族だけで抱え込まずに、担当の相談支援専門員や、市障がい児者相談支援センターをご活用ください。障がいのある子どもが安心して生活できる未来のために、一緒に考えていきましょう。
相談・問合せ:市障がい児者相談支援センター
【電話】37-9970
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