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市史編さんだより vol.32

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栃木県大田原市

■自然部会調査速報(11)~氷河期の蝶、大田原に進出~
氷河期からの生き残りとされるウスバシロチョウという和名の白い蝶が、おもに栃木県北西部の山地の寒冷地に生息しています。「シロチョウ」という名が付いていますが、モンシロチョウとは全く違いアゲハチョウ科に属しています。この蝶、大田原市内では平成11年(1999)に薄葉で発見されたのが最初で、その後、平成15年には南方、平成20年には雲岩寺でも見つかりました。近年は須賀川・須佐木・藤沢でも見られ、市内の広範囲に分布を拡大していることがわかりました。
ウスバシロチョウの食草は、全草(花・葉・茎・根など全ての部分)に毒成分プロトピンをもつケシ科のムラサキケマンなどです。毒成分を摂取して蝶自身も毒をもつため、鳥などが嫌います。そのため天敵が少なく、毒蝶特有のゆったりとした飛翔を行います。また、他のアゲハチョウ科の蝶は蛹で越冬しますが、本種は卵で冬を越して翌春孵化(ふか)し、蝶の仲間では珍しく繭をつくり、その中で蛹化(ようか)します。温暖化が進む現在、氷河期の生き残りながら、寒冷な山地から比較的温暖な平地へと分布を拡大している、特異な蝶といえます。(自然部会髙橋滋)

問合せ:文化振興課
【電話】0287-47-5031

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