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黒羽芭蕉の館だより 第94回

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栃木県大田原市

■芭蕉詩境(しきょう) 竹斎(ちくさい)
今回は、小杉放菴(こすぎほうあん)が制作した「芭蕉詩境竹斎」という絵画作品を紹介します。紙本淡彩(しほんたんさい)で、掛軸に仕立てられており、本紙の寸法は、縦26・7cm、横24・5cmです。
小杉放菴(1881~1964)は、日光二荒山神社の神官の子として生まれ、洋画家になり、小杉未醒(みせい)と号しました。大正後期から放庵(後に放菴)と号し、妙味あふれる墨線を活かした淡彩の日本画など、独自の境地を確立して、日本近代美術史上に大きな功績を残しています。
本作品には松尾芭蕉(もしくは竹斎)らしき人物が描かれ、左側には「芭蕉句曰(ばしょうくにいわく)木枯の身は竹斎に似たる哉(かな)」と書かれています。芭蕉が貞享(じょうきょう)元(1684)年、『野ざらし紀行』の旅の途中、名古屋で詠んだ「狂句(きょうく)こがらしの身は竹斎に似たる哉」からの引用です。この句は、狂句(俳諧)を詠み、凩に吹かれて歩くこの身は、竹斎に似ていることだなあ、といった意味です。竹斎は、仮名草子『竹斎』の主人公の名前です。山城国の藪医者で、江戸に下る途中、名古屋で狂歌を詠んでいます。
本作品には、侘びに徹した風狂の芭蕉の詩境がよく仮託されています。本作品は現在、当館芭蕉展示室で展示中です。

問合せ:黒羽芭蕉の館
【電話】0287-54-4151

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