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なす風土記ものがたり vol.64

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栃木県大田原市

■有段口辺壺
古墳時代前期に確認できる土師器(はじき)の壺形土器です。実用的な器としてではなく、祭祀の目的で使用されたと考えられます。土器底部に意図的に穴をあけ(底部穿孔(ていぶせんこう))、赤色顔料(せきしょくがんりょう)を塗布するなどして赤くする特徴的な形態をしているものが多く確認されます。同型のものが配列して出土する例が多く、埴輪を思わせるものとして考えられています。那須地域では、古墳に埴輪が伴う例は古墳時代中期以降に出現することが多いため、古墳時代前期はこの土器が後方部上に並べられたものと考えられます。
那須地域に所在する前方後方墳ではいずれも有段口辺壺が複数置かれていた可能性が指摘されています。大田原市では下侍塚古墳からも4~5点ほど発見されています。この土器の存在は、江戸時代に行われた発掘調査の記録である、大金重貞による『湯津神村車塚御修理(ゆづかみむらくるまづかごしゅうり)』で「花瓶のようなもの」としても記されています。
最近の調査では、大田原市の石田遺跡で出土しています。遺存状態が良く、この土器が発見された溝跡は、方墳あるいは前方後方墳の周溝跡であると考えられます。また、県による上侍塚古墳の発掘調査でも、同様の土器が確認されています。
出土点数としては多くはありませんが、古墳時代前期の様相をしめす貴重な資料だといえます。

問合せ:なす風土記の丘湯津上資料館
【電話】0287‒98‒3322

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