■民俗部会調査速報(14)~ご先祖様と向き合うお盆~
お盆は先祖の霊を祀(まつ)る行事で、祖霊信仰と仏教が融合した行事といわれています。旧暦の7月15日に行われていましたが、現在は8月15日に行われているところが多く、夏の暑い時期の行事です。
一連のお盆の行事は、地獄の釜の蓋が開く日であるといわれる8月1日のカマノフタに始まります。この日、各家では朝からカマノフタマンジュウといわれる饅頭をつくり、あの世から現世へ旅立つご先祖様のために仏壇へ供えます。7日頃までには墓掃除をしてご先祖様を迎える準備をします。また、初盆の家ではご先祖様が迷わないようにとタカンドウロウを立てる習わしがみられます。
13日の迎え盆は、ご先祖様が家に帰って来る日です。ご先祖様を墓に迎えに行く前に、悪霊に墓へ引きずり込まれないようにと、ナマグサ(ドジョウ汁など)を食べる風習があります。墓では提灯(ちょうちん)に火をともし、ご先祖様を背負うまねをするという風習もみられました。仏壇の前や座敷にはボンダナがつくられ、マコモやゴザを敷き、キュウリとナスをご先祖様が乗るための馬や牛に見立てて置き、野菜や果物を供えます。14・15日は、親戚や隣近所の人たちの接待をし、ボンダナにはご馳走を供え、ご先祖様と家人とが同じ食事をとり、ともに過ごします。16日は送り盆となり、米粉でオカエリダンゴをつくるところもあり、盆飾りをマコモに包んで墓に供えたりお寺などに納めたりして、盆の行事は終わりとなります。
その後も残暑が続きますが、季節は実りの秋へと移ります。
(民俗部会 金井忠夫)
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