■松尾芭蕉筆『おくのほそ道』(複製)
今回は、松尾芭蕉筆『おくのほそ道』(複製)を紹介します。形態は冊子で、員数は1冊です。正方形に近い枡形本(ますがたぼん)という形で、寸法は縦14.9cm、横16.9cmです。
芭蕉筆『おくのほそ道』は、平成8年(1996)秋にその存在が確認されたもので、今回紹介の資料は、限定120部として制作された複製です(同年11月、中尾松泉堂書店発行)。
袋綴、全31丁で、原装の表紙にあたる丁の表の左寄りに、本文と同一の筆跡で「おくの細道」と書かれています。各丁の本文の行数はまちまちで、刃物による削除や貼紙して加えた訂正など、改変の痕跡が多く、下書き本的な特徴を有しています。
芭蕉が『おくのほそ道』の執筆に本格的にとりかかったのは、第3次芭蕉庵に入った元禄5年(1692)5月以降のことと考えられています。本書が源流となって、その後、いくつかの写本を経て、元禄7年4月に清書本(西村本)の完成となりました。同年10月に芭蕉は死去しますが(享年51歳)、同15年、西村本をもとにして出版がなされ、その後、版を重ねていきました。写真は第1丁表(「発端」の章冒頭)です。本資料は芭蕉展示室で展示中です。
問合せ:黒羽芭蕉の館
【電話】0287-54-4151
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