■画巻(がかん)・更科紀行(さらしなきこう)
今回は、画巻・更科紀行を紹介します。形態は巻子(かんす)で、員数は1巻、寸法は縦32.5cm、横610.5cmです。7枚の紙が貼り継がれています。
松尾芭蕉は貞享(じょうきょう)5年(1688)、45歳の時、京都滞在の後、大津から中山道(なかせんどう)を経て、岐阜方面に出て、尾張地方に行っており、8月には信州更科の月を賞するために、越人(えつじん)という門人と共に赴いています。この旅が結実したのが、芭蕉の紀行文『更科紀行』です。冒頭に「さらしなの里、おばすて山の月見ん事、しきりにすゝむる秋風の心に吹(ふき)さわぎて」と記される『更科紀行』は、短編ながら、旅情が横溢(おういつ)した優れた旅の記となっています。
今回紹介する作品は、片桐白登(かたぎりはくと)(長野県豊丘村出身の画家)が『更科紀行』本文を筆で書き、所々に絵も描いて、巻子に仕立てたもので、昭和63年(1988)3月、長野県松本市内の株式会社郷土出版社から100巻限定で出版されています。
写真(展示箇所)は、芭蕉・越人と、荷兮(かけい)(芭蕉の門人)が帯同させた下人が行く中、重い荷物を背負った60歳位の僧侶がいたので、芭蕉たちの荷物と合わせて馬に付けた上で、芭蕉がその馬に乗る、といった場面です。
本資料は芭蕉展示室で展示中です。
問合せ:黒羽芭蕉の館
【電話】0287-54-4151
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