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予測不能な軌道を武器に世界の舞台へと羽ばたく
藤本 智仁(ふじもと ともひと)さん
プロフィール
宇都宮市役所職員。日本デフバドミントン協会強化指定選手として、アジア太平洋ろう者競技大会に出場。仕事と両立しながら、練習に励んでいる。
昨年5月、埼玉県で開催された「2024日本ろう者ランキングサーキット大会」。本市職員の藤本智仁さんが、デフバドミントンの男子シングルスと男子ダブルスに出場し、両部門で3位に入賞しました。
デフバドミントンは、聴覚障害のある選手がプレーするバドミントン競技で「打球音のない世界のバドミントン」とも呼ばれます。基本的なルールは健常者が行うバドミントンと同様で、シングルス、ダブルスそれぞれで健常者と同じ広さのコートを使い、1セット21点の2セット先取によって勝敗を争います。
競技中はショットの種類などの判断材料となる打球音が聞こえず、ダブルスでは声でコミュニケーションを取れません。藤本さんは「普段は右耳に人工内耳を付けているが、競技の際は体外部分の機器は外さなければならない。ただ、かえってその方が自由に動ける」と語ります。
1歳の時に両耳の難聴が判明して以来、聴神経を刺激する人工内耳を装着し、健聴者と同様に日常生活を送っている藤本さん。バドミントンを始めたのは小学1年生の時で、高校2年生でデフバドミントンに転向しました。高校3年生の時に世界デフユースバドミントン選手権に出場し、男子シングルスで3位に入賞、現在は日本デフバドミントン協会の強化指定選手として、仕事と両立しながら週3回練習に励んでいます。
昨12月には、マレーシアで開催された「第10回アジア太平洋ろう者競技大会」の男子シングルスに日本代表として出場し、1セットを先取しましたが、惜しくも初戦敗退となりました。国対抗の団体戦では藤本さんはチームのサポートに尽力し、強豪インドを破って見事日本が優勝しました。
今後について藤本さんは「自分の強みは左利きであることと、フェイントや視線誘導を駆使したトリッキーなショット。今まではシングルスに主に出場してきたが、今後はダブルスにも力を入れて自分の可能性を広げたい。今年の11月には最も大きな大会のデフリンピックが日本で初めて開催されるため、出場に向け全力で取り組みたい」と意気込みます。
予測不能な軌道を武器に、藤本さんは世界の舞台に向け羽ばたきます。
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