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キラリ輝く日光に生きる人々「輝き人」vol.58

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栃木県日光市

■クマの美しさに魅(み)せられた若き研究者/ハンター
◇東京農工大学博士課程3年生/ハンター
稲垣 亜希乃(いながきあきの)さん(鬼怒川温泉大原)

東京から日光市に移住して2年。東京の大学で野生動物や生態系についての研究を続けながら、ハンターとしても活動する稲垣さんにお話を伺いました。

Q:自然や動物が好きになったきっかけは?
幼少期に静岡の網代(あじろ)という自然豊かな漁師町で過ごしたことがきっかけです。その後、出身地の東京に戻り、中学校や高校ではバイオリンや聖歌隊など、音楽漬けの生活を送っていました。進路について考え出したときに「やっぱり自然が好きだなぁ」と思い、人と野生動物の共生や自然について学ぶことができる大学に進学しました。
そして、インターンシップで訪れた知床で初めてヒグマを見て、クマの大きさや美しさに衝撃を受け、さらに野生動物にのめり込みました。

Q:移住のきっかけは?
大学3年生のときに、ツキノワグマの研究で足尾を訪れたのがきっかけです。大学4年生からは現在の研究の調査地として、藤原地域を紹介してもらいました。頻繁に調査ができることはもちろん、地域コミュニティとも密接に関わっていき
たいと思い、大学院に戻ったタイミングで移住しました。
移住後も多くの方に気にかけていただいたり、研究のサポートをしていただいたり、地域の皆さんの温かさや優しさに触れながら生活しています。日光市は大好きな場所です。

Q:研究内容は?
死んでしまった野生動物がどのような動物に食べられるか、どう分解されるかなどについて調べ、それによって生態系がどう維持されているかを研究しています。
主に有害鳥獣として駆除されたシカの死骸を山に設置し、クマやタヌキが食べる様子をカメラで撮影して調査しています。

Q:なぜハンターに?
研究の過程で日光市の猟友会の方々と出会い、わなの見回りや狩猟について行っていたのがきっかけで、研究で必要だからというよりも、純粋に「かっこいい!」と思い、狩猟免許を取りました。今では研究にも役立っています。

Q:日光市での活動は?
夏から秋は主に山で調査を行い、冬は研究対象の一つであるクマが冬眠してしまうので、データの整理や論文の執筆を行いながら、狩猟を楽しんでいます。去年からは、有害鳥獣駆除にも参加しています。

Q:今後の目標は?
大学院卒業後も、日光市を拠点に野生動物や自然に関わる活動を続け、日光の豊かな自然を守り、市内外へ魅力を伝えていきたいです。
生態系が健全に維持されない限り、日光市の観光資源は減ってしまうと思います。例えば、シカが増え過ぎると餌となる植物がどんどん食べられ、景観が変わってしまったり、貴重な植物がなくなってしまったり…。人々の暮らしが自然と強いつながりのある日光だからこそ、自然と人の良好な関係を築くための取り組みを続けていきたいです。

◎インタビューを終えて
「研究成果が日光に住む皆さんの誇りにつながれば」と話してくれた稲垣さん。研究と日光市に対する情熱を、飾らない言葉で聞かせてくれた稲垣さんに出会えただけでも、私は日光市を誇りに思いました。稲垣さんの今後の活動にも注目です。

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