文字サイズ
自治体の皆さまへ

元気予報

14/41

栃木県日光市

■ビタミンの話(5)
近年、ビタミンB群にはビタミンB1からB12まで数多くの種類が含まれます。当初、「ビタミンB」と名付けたものの、その中にたくさんの種類が存在していることがのちに判明したためです。

ビタミンB2(リボフラビン)は糖質、脂質、タンパク質の代謝・エネルギー産生(さんせい)のための補酵素として働きます。ビタミンB1が糖質の代謝に関わるのに対して、ビタミンB2は特に脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜・髪・爪などの細胞の再生に役立ちます。

ビタミンB3は通常、「ナイアシン」と化学名で呼ばれることが多いビタミンです。このビタミンが欠乏すると「ペラグラ」という疾患を発症します。

ペラグラは皮膚炎・下痢・認知障害の3つの症状とする疾患ですが、ナイアシンはトリプトファンというアミノ酸から体内で合成されることから、タンパク質不足を伴わないと発症しにくいため、患者数は極めて少ない状況でした。

私は過去に一例だけ、ペラグラ患者を診療した経験があります。

総合病院に勤務していた時、全身の皮膚の発赤(ほっせき)と落屑(らくせつ)(カサカサになった皮膚がボロボロ剥(は)がれ落ちる)・難治性の下痢・認知機能障害を伴った入院患者を受け持ちました。血液検査やCTスキャンなどの各種検査はほぼ問題なし。低栄養を疑わせる所見と、アルコール多飲者だということがわかっていました。入院当初は原因がわからず、ほかの医師たちも診断に首をひねるだけでした。

あれやこれや考えていくうちに学生時代に覚えたペラグラの症状に合致することにハタと気付き、ビタミンB3(ナイアシン)の投与を始めることにしたのです。

すると、ひどかった下痢が治まり、全身の皮膚症状もみるみる改善していく様子に驚いたことがあります。患者はどうやら酒ばかり飲み、まともに食事もとっていなかったようです。

この一例からも、バランスのとれた食生活が大事なのだと改めて思ったものです。

上都賀郡市北部地区医師会幹事(藤原地区)
川村医院
川村 英樹(かわむらひでき)

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU