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元気予報

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栃木県日光市

■リウマチ性多発筋痛症(PMR)

PMRという病気を聞いたことがあるでしょうか。発熱や痛みを伴う病気で、高齢者に多く、現在のところ原因が不明な病気です。日本人は欧米人に比べて患者数が少ないとされていますが、まれな病気というわけではなく、外来でもこの病気の患者さんを診ることが時々あります。

一般には50歳以上の中高年に好発し、男女比では女性に多く、小児には認めません。はっきりした病因はわかっていませんが、病気のグループとしてはリウマチ・膠原病(こうげんびょう)に属し、遺伝的要因を背景に免疫の異常による急性炎症が関与していると考えられています。

発症が比較的急激で、発熱、食欲不振、体重減少、全身倦怠感(けんたいかん)、抑うつなどの全身症状のほか、両側の肩、頸部(けいぶ)、腰部(ようぶ)、臀部(でんぶ)、大腿(だいたい)などの筋肉に痛みや強いこわばりが出て、手足を動かせないことで自覚します。これらの症状は朝の起床時が最も強く、床とこからなかなか出られない状態になりますが、午後にはある程度軽快することが特徴です。また、日本人では欧米人より少ないですが、時に巨細胞性動脈炎という大型・中型の動脈に肉芽腫(にくげしゅ)を形成する難病を併発することがあり、側頭部を中心とした頭痛、視力低下、顎(あご)の痛みで物が嚙(か)めない症状が認められることがあります。

この病気の診断には、年齢、発現の仕方、症状の内容と検査での炎症所見の存在を参考にして、関節リウマチなどの類似疾患を十分に除外する必要があります。

治療は副腎皮質ステロイド剤の投与が第一選択で劇的な効果を示しますが、中止や減量での再燃が多く、長期の服用を要することがあります。

この病気は巨細胞性動脈炎の合併がなければ、予後(病気の見通し)は比較的良好ですが、ステロイド剤の副作用(感染症、糖尿病、胃潰瘍、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など)や中止・減量による再燃には注意が必要で、主治医の指示を守り、焦らず治療することが重要です。

上都賀郡市北部地区医師会幹事(今市地区)
英静会 森病院
森 亮善(もりりょうぜん)

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