「長期財政の収支見通し」は、これまでの決算傾向から、財政健全化の取り組みを実施しなかった場合を推計したものです。この推計では、令和10年度に収支がマイナスとなることが予測されたことから、市では財政健全化に向けて2つの目標を定め、歳入確保や歳出削減に向けて取り組んでいます。
■赤字転落を防ぐための2つの目標
(1)経常収支比率を、令和7年度に96%未満とする
(2)市の貯金である財政調整基金(※)を、令和7年度に15億円以上確保する
※財政調整基金…財源に余裕がある年に積み立て、不足する年に取り崩すことで年度間の調整を行い、健全な財政運営を行うための貯金のことです。災害など不測の事態に備えるものであることから、市民の皆さんが安心して生活できるよう、一定額の確保が不可欠です。
◆経常収支比率ってなんだろう?
地方税、地方交付税などの経常的な一般財源を、人件費、扶助費、公債費などの経常経費にどの程度充てられているかを示す指標のこと。一般的な家庭に置き換えると、下の計算式で表せます。
この値が100%を超えると、経常的な支出を経常的な収入で賄(まかな)えず、貯金を取り崩したり、お金を借りたりしながら生活する状況となってしまいます。
■財政健全化に向けた取り組み状況
財政健全化に向けた2つの目標を達成するために、毎年度1.5億円の増収・財政効果を生み出す施策を展開することとしており、令和5年度は目標を上回る1.6億円の財政効果を生み出すことができました。
▽主な取り組み内容
・公共施設の統廃合など公共施設マネジメントの推進
・内部留保資金を抱える団体への補助金の見直し
■令和5年度の決算状況
寄附金(ふるさと納税)や市税が増加したため、長期財政の収支見通しにおける収支見込みから約10億円の改善となりました。
◇寄附金(ふるさと納税)…計画値3.6億円を上回る11.8億円の実績
増額要因…
(1)ふるさと納税ポータルサイトなどを拡充
(2)宿泊券などの返礼品が大人気
◇市税の増額要因…計画値124.1億円を上回る134.2億円の実績
増額要因…法人市民税や固定資産税が増加
▽経常収支比率の推移(%)
・目標(1)…経常収支比率を令和7年度に96%未満とする
・令和5年度実績…98.6%(県内14市平均93.3%)
・数値が悪化した理由…物価高騰や賃金上昇の影響などにより経費が増加したため
▽財政調整基金年度末残高の推移(億円)
・目標(2)…財政調整基金を令和7年度に15億円以上確保する
・令和5年度末残高…26億円
・取り崩しを回避できた理由…見込み以上に市税収入やふるさと納税が増加し、財源の補填(ほてん)が不要となったため
■今後の取り組みについて
◇物価高騰の影響で、経常収支比率の目標達成は困難な状況ですが、これまでの取組みにより財政調整基金の取り崩しは回避することができました。経常収支比率悪化の要因である物価高騰は、市の財政のみならず、市民生活にも大きな影響を及ぼしています。
◇今後は、物価高騰に加え、賃金上昇も進んでいくことから、ますます財政状況の悪化が懸念されます。
◇このような中、市は、以下の基本的な考えに基づき、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていきます。
・市民の皆さんへの負担増を最小限に抑える
・将来を担う子どもたちに負担を残さない
・歳入確保に向けて、あらゆる可能性を追及する
・費用対効果を重視した事業の検証により改革を進める
問合せ:財政課 財政係
【電話】0288-21-5162
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