■足尾の冬を灯し続ける光にかける想い
〇一般社団法人あしおトロッコ館 理事
・岡本 憲之(おかもとのりゆき)さん
・須永 秀夫(すながひでお)さん
毎年、足尾の駅を彩るイルミネーションは今年で20周年を迎えます。地元市民や事業者が有志で各駅を担当し、足尾の夜に明かりを灯し続けています。今回は、足尾駅を担当している「(一社)あしおトロッコ館」の2人に話を伺いました。
◆わたらせ渓谷鐵道を知ってもらうきっかけに
岡本:
私は17年前から、足尾で鉄道保存のボランティアをしています。現在は、古河足尾歴史館の一角で足尾ガソリン軌道歴史館線とトロッコ展示場の管理運営、わたらせ渓谷鐵道(てつどう)(以下、「わ鐵」という)足尾駅で車両保存の活動を行っています。
10年ほど前に「わ鐵のことを市民の方に知ってもらうきっかけになれば」という思いから、足尾駅のイルミネーションを担当しています。
須永:
当初は、装飾の仕方がわからず苦労しました。
はじめは、足尾町わたらせ渓谷鉄道協力会から電飾が配られていましたが、最近では、不要になった電飾の寄附なども活用しながら活動を続けています。
◆2カ月前から入念な準備
須永:
装飾は10名程度で約4日間かけて行います。その前に、私1人で2カ月かけて、電球の点灯チェックや装飾品の動作確認などを行うのも大変な作業です。また、足尾駅は駅舎やプラットホームが国の文化財に登録されているため、駅舎の梁(はり)に電球を括(くく)るときも、梁を傷めないように細心の注意を払いながら作業しています。
岡本:
イルミネーションは、基本的に有志で行っているため、費用面や人的な支援などを一切受けていません。私たちも高齢化が進み、高所作業などが難しく、やむなく年々規模を縮小しています。
◆歴史風情と鉄道とイルミネーションの融合
岡本:
足尾駅は駅舎だけでなく、貨物ホームの装飾も行っています。貨物ホームは乗客からは見えない場所なので、普段わ鐵を利用しない市民の方も、ぜひ見に来てほしいです。また、足尾駅の歴史的建造物としての雰囲気を壊さないように、制御できる電飾は点滅させないようにするなど、情緒に配慮している点も、ぜひ注目して見てほしいです。
須永:
装飾の数は全体的に縮小していますが、貨物ホームに流れ星の装飾を設置したり、キハの車内装飾を増やしたりするなど、今年から追加した装飾もあるので、以前見に来てくれた方も楽しめますよ。
◆イルミネーションへの強い想い
岡本:
イルミネーションを通して足尾駅と地域住民の方々とのつながりを持ってほしい、と強く願っています。その際にはぜひ、わ鐵も利用してみてほしいですね。
須永:
見に来てくれる方のために、できるだけイルミネーションを継続していきたいです。
■インタビューを終えて
今や、足尾地域の冬の風物詩となっている各駅イルミネーション。足尾を照らす明かりたちは、足尾地域に対する強い想いのある皆さんの尽力によって作り出されていると感じました。イルミネーションは、2月29日(木)まで行われているので、ぜひ足を運んでみてください。
※電飾は、わたらせ渓谷鐵道各駅イルミネーション事業実行委員会からも支給されています。
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