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ハートランド(渡良瀬遊水地) 私が案内します Vol.54

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栃木県栃木市

■種子を冷凍保存する
関勝雄(せきかつお)さん
根津(ねづ)スミヤントさん

▽大都会・新宿に、絶滅危惧植物の『ミニ遊水地』
東京都庁など高層ビルが連なる新宿。摩天楼に囲まれてぽっかり、58.3haの庭園「新宿御苑」が広がります。
ここは、温室(写真上)の前。手に持つ鉢は絶滅危惧1.B類のハタベスゲなど。また、足元のせせらぎ水路にはミズアオイ、コキツネノボタンなど5種類(同下)。どれも遊水地産の絶滅危惧植物で、ちょっとした『ミニ遊水地』の風情です。春から夏、青や黄色の花を咲かせて来苑者を楽しませます。
私、関勝雄(同上の中央)は、温室を管理する環境省の責任者です。日本の植物は約7千種。しかし、里山の減少などで、今や約4分の1に絶滅の恐れがあります。危機感から、いわば『保険』として、日本植物園協会と連携して全国の絶滅危惧種を、「種子保存施設」の機能を持つ新宿御苑に集めて保存しているのです。16年前に始め、これまで約660種の保存が進みました。
方法は冷凍保存で、マイナス20度で長期間眠らせた状態にします(同下の左上)。また野生復帰には、種子が再び目を覚ます「休眠打破」や、生育特性の知見が欠かせず、私たちの手で実際に種子から育てているのです。
私は、温室管理業務を請け負う国民公園協会の根津スミヤントです(同上の右)。遊水地由来の種子は数十種保存され、うち栽培・管理中は13種。遊水地は植物の「楽園」ですし、地元の方が協力的で私たちの採集を助け、種子も提供してもらえます。育てていて、「恩返し」の気持ちが湧きます。全国の各地域と同様に、遊水地での保全活動が環境省の取り組みと連動して、絶滅危惧植物を守ることに役立っています。
バックヤードツアーを毎月開催。同苑(【電話】03-3350-0151)。

※写真は、本紙またはPDF版32ページをご覧ください。

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