いよいよ1月5日より、2025年NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」の放映が開始されます。歌麿がいつ登場してくるのか。はたして栃木と歌麿の関係が描かれることはあるのか。期待は尽きません。
11月号に引き続き、今回も蔦重・歌麿と栃木を結びつける作品を1つご紹介します。それは寛政5年(1793)、「寛政の改革」の最中に出版された全8図からなる作品群で、歌麿が絵を描き蔦屋重三郎が発行したものです。吉原の花魁(おいらん)を中心に、お付きの新造(しんぞう)・禿(かむろ)などを配置し、短冊形枠に狂歌が記されています。賛を寄せる狂歌師をみると「栃木通用徳成(つうようとくなり)」が2首、「栃木川岸松蔭(かわぎしまつかげ)」が1首、さらに下毛の狂歌師として知られている「酒桶数有(さかおけかずあり)」が1首。全図の半数が栃木関係の狂歌師となっています。特に「通用徳成」は、こののち歌麿の肉筆画である「杭打ち図」や「三味線を弾く美人図」に登場する4代目善野喜兵衛(ぜんのきへい)で、歌麿と極めて近い関係にあった人物として知られています。
このシリーズが描かれた前々年、蔦屋重三郎は山東京伝(さんとうきょうでん)の著作が禁令に触れ、処罰されたことに連座して罰金刑を受けることとなりました。歌麿とともにこの危機を乗り越えようとした蔦重。そんな時期に、栃木の狂歌師(町人)たちが、資金を出して歌麿に作成を依頼し、蔦重を支援した。その様にも解釈できる作品群ともいえます。そして、この後すぐに、蔦重と歌麿は美人画大首絵を開発することにより、見事に復活していきます。
問合せ:歌麿を活かしたまちづくり協議会事務局(蔵の街課内)
【電話】21-2573
※本協議会は、当時の吉原の制度を容認または美化する意図は一切ありません。テーマの趣旨を説明するために美術作品として、取り上げています。
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