■ヤングケアラーをご存じですか?
ヤングケアラーに法令上の定義はありませんが、一般には、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている18歳未満の子どものことをいいます。今回は、ヤングケアラーのイメージ10例を紹介するとともに、子どもたちを取り巻く現状と課題について紹介します。
・障がいや病気のある家族に代わり、買い物・料理・掃除・洗濯などの家事をしている
・家族に代わり、幼いきょうだいの世話をしている
・障がいや病気のあるきょうだいの世話や見守りをしている
・目を離せない家族の見守りや声かけなどの気づかいをしている
・日本語が第一言語でない家族や障がいのある家族のために通訳をしている
・家計を支えるために労働をして、障がいや病気のある家族を助けている
・アルコール・薬物・ギャンブル問題を抱える家族に対応している
・がん・難病・精神疾患など慢性的な病気の家族の看病をしている
・障がいや病気のある家族の身の回りの世話をしている
・障がいや病気のある家族の入浴やトイレの介助をしている
(C)一般社団法人日本ケアラー連盟/illustration:Izumi Shiga
■県内小学生の8人に1人が「お世話をしている家族がいる」と回答
栃木県が小・中学生・高校生を対象に実施したヤングケアラー実態調査では、「お世話をしている家族がいる」と回答した児童・生徒の割合が、いずれも国の調査結果を上回りました。上記の例のような家事や介護は、子どもにとって重い負担となっている場合があります。
▽お世話をしている家族が「いる」と回答した子どもの割合
資料
県:栃木県ヤングケアラー実態調査報告書(概略版)(調査時期:令和4年7月)
国:厚生労働省「ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書(調査時期:全国の中学2年生、高校2年生生徒向け令和2年12月~令和3年1月、全国の小学6年生児童向け令和4年1月)
■県内のヤングケアラーの60%以上が「相談したことがない」と回答
栃木県ヤングケアラー実態調査の結果によると、ヤングケアラーの多くは家族や友人など身近な人に相談しています。
一方「、相談したことがない」と回答したヤングケアラーは60%に上り、その理由は「相談するほどの悩みではないから」が半数以上という結果となりました。子どもたちが誰かに相談したいと思った時に、安心して相談できる体制を整えておくことや、周囲の人々が「ヤングケアラー」について正しく理解しておくことが大切です。
(相談するほどの悩みではないかな…?)
■ヤングケアラーを取り巻く5つの課題
子どもが家族の手伝いや手助けをすることは、責任感や社会性を身に付けるうえでも大切なことと思うかもしれません。しかし、負担が重くなると下記のような影響が出る可能性があります。
▽ヤングケアラーの自覚がない
子どもは自身の家庭しか知らず育つことが多く、客観的な視点を持ちにくく、負担を抱えている状況が当たり前だと感じてしまう場合がある。
※県の実態調査では、ヤングケアラーに当てはまると思っている生徒は10%前後で、「分からない」が40%台となっている。
▽友人関係に影響する
友人と遊んだり、コミュニケーションを取れる時間が少なく、孤立しがちになりやすい。
※県の実態調査では、学校や大人に助けてほしいこと、必要な支援についての回答では、「自由に使える時間がほしい」が年齢に関わらず、10%以上となった。
▽進学や就職に影響する
遅刻や欠席が増えたり、勉強時間が十分に取れないことによって、自分のできると思うことを狭めて考えてしまい、進学や就職などその後の人生への影響が懸念される。
▽相談相手がいない
家族以外の大人に相談する経験が少なかったり、どこに相談したらよいのか分からず、悩みを1人で抱えてしまう場合がある。
▽周囲の人が気づきにくい
子どもが病気や障がいを抱えている家族のことを知られたくないと思い秘密にする場合などがあり、家庭内の問題が表に出にくく、実態の把握が難しい。
●ヤングケアラーに関する真岡市の取り組み
(1)啓発チラシの配布(小学5年生~中学3年生対象)
(2)思春期教室にてヤングケアラーについての説明(中学2年生対象)
(3)広報紙や市HP等による情報発信
(4)ヤングケアラーの早期発見や適切な支援を目指した研修会の実施(教職員や福祉系職員対象)
(5)関係機関と情報交換・連携したヤングケアラーの早期発見
問合せ:こども家庭課家庭相談係
【電話】82-1113
■1人で抱え込まずご相談ください
自分のことや家族のことを話すのは勇気がいると思いますが、少しでも話すことで、抱えている悩みや不安が軽くなるかもしれません。秘密は厳守されますので、まずは相談してみましょう。
▽真岡市子ども家庭総合支援拠点(市役所本庁舎1階こども家庭課家庭相談係内)
子育てに関する総合相談窓口です。
【電話】0285-82-1113(平日8:30~17:15)
▽児童相談所専用ダイヤル(こども家庭庁)
地域の児童相談所職員が相談に応じます。
【フリーダイヤル】0120-189(いちはやく)-783(おなやみを)(24時間受付年中無休)
▽24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)
いじめや子どものSOS全般について、子どもや保護者などが24時間いつでも相談できます。
【フリーダイヤル】0120-0-78310(なやみいおう)(24時間受付年中無休)
▽親子のための相談LINE(こども家庭庁)
子育てや親子関係の悩みについてLINEを活用した相談窓口です。
相談受付時間:平日16:00~22:00
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