足利市長早川尚秀
■新たな国際交流の推進
本市の国際交流は、今から40年程前に、中国済寧市と友好都市を締結したことを契機に、その後、米国スプリングフィールド市と姉妹都市を締結しました。それ以来、今日まで多くの方々のご尽力のおかげで良好な関係を続けています。
この2都市との交流開始以降、新たな国際交流の動きはありませんでしたが、グローバル化が加速する現在、地方自治体も世界へと視野を広げ、まちの発展や課題解決につなげる方策を考え、行動していかなければなりません。
こうした中、成長著しい東南アジアの中でも、ベトナム社会主義共和国は親日国であり、また学ぶ意欲や働く意欲の高い若者が多く、令和5年、日本との外交関係樹立50周年を機に、国としても地方都市レベルでの交流を後押ししています。さらに、現在足利市には1200人を超えるベトナム人が暮らしており、人手不足・高度人材不足が喫緊の課題となっている市内産業の各分野において、貴重な担い手となっています。
そこで、本市としてもベトナム国に着目し、本市の将来の発展につながる候補都市を研究し、日本、ベトナム両国外務省のご支援を得てクイニョン市との交流を開始しました。ビンディン省の省都であるクイニョン市は、人口約48万人、ベトナム国内12の地方中心都市の1つで、国内有数の観光地でもあります。空港や港湾、高速道路などの交通インフラの整備が進み、さらに空港拡張の計画もあるなど、将来性と魅力あふれる美しいまちです。加えて、学生数2万人を誇る国立クイニョン大学には日本語文化センターが開設され、近年では日本語検定試験を実施するなど、ベトナム中南部の日本語高等教育の受け皿になっています。
今月、クイニョン市の訪問団をお迎えし、『相互協力に関する覚書』を締結する運びとなりました。今後は、産業・観光・文化・教育など幅広い分野での交流を具現化していきたいと思っています。例えば、市内企業へのインターンシップや就職、観光誘客、足利大学を通じた人材育成などが考えられます。さらに、ベトナム外務省高官からは、チャーター便による観光交流も提案されました。実現した際には、多くの市民の皆さんにもクイニョン市を訪問していただきたいです。本市にとって、新たな国と国際交流を進めるのは30年ぶりです。未来へつながる第一歩を力強く踏み出していきたいと思っています。
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