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特集 居場所(4)

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栃木県那須塩原市

■居場所づくりに向けて。
昨年11月30日、那須塩原市役所本庁舎で新庁舎設計事業者2名と渡辺市長による「新庁舎とまちづくり」をテーマにした座談会を開催。まちにとって新庁舎がどのような存在となることを期待されているのか、おのおのの立場から意見が交わされました。ここでは安井・隈設計共同体のそれぞれの代表者の声をまとめます。

(座談会の模様は、市公式YouTubeチャンネルで動画を公開中。)

▽(株)安井建築設計事務所
佐野吉彦(よしひこ)代表取締役社長
開拓の歴史になぞらえて新しい「環境建築」の形をここから提言したい。

那須塩原は山が近く、自然の豊かさが非常に魅力的ですね。特に、まち全体がゆるやかに傾いている地形は、建築的にも多くの可能性を引き出します。この地形は、「まちに住む方々にとってもお互いの顔が見えやすいまち」という印象を強く感じますね。那須連山の美しさを背景に市庁舎を建設することは、建築する側にとっても、市民の皆さんにとってもワクワクする体験だろうと思います。新庁舎の計画では、「わがまちの中心がここにできる」という期待を市民の皆さんに持っていただくことを目指しています。
21世紀から22世紀に向けての新しい那須塩原の風土づくりを通じて、「環境建築」という新しい建築のあり方を提言していくことになるでしょう。建築物を作ること自体が最終ゴールではなく、市民の皆さんがいかに建築を使いこなし、長く生き永らえさせるかが重要です。そのためには技術的な面から言えば、使い方のモニタリングはもちろん、環境性能やDXなど、さまざまな側面での持続的なモニタリングが必要です。設計過程からどのように建築をモニタリングするか、今のうちからしっかりと準備をしておきたいと考えています。
明治期にこのまちを切り拓ひらいて育てていった歴史があることも、人文学的な見地から見て非常に魅力的です。これからは次世代がこの地域を支えていく必要があります。新庁舎を建てることは、そのきっかけとして非常に良い教科書になるはずです。次世代を担う皆さんには、「市庁舎はどうあるべきか」ということを考え、積極的にアイデアを出してもらいたいですね。それが良い経験となり、将来、世界で活躍する際の貴重な学びの場となるでしょう。

▽(株)隈研吾建築都市設計事務所
隈研吾(くまけんご)氏
里山とまちをつなぎ直すプロジェクトを皆さんと一緒に考えていきたい。

駅を降り立った時に見える山と駅との間が軸でつながった光景というのは唯一無二と言えるでしょう。特に「環境」と「DX」で連動している例はあまりありませんので、そうしたことを前提に庁舎のあり方やまちづくりを考え、これからのグリーンの時代にふさわしいものにしていくことができれば、日本の中でも代表的な都市の一つになるのではないかと思います。ヨーロッパでもアルプスの山などがありますが、山と都市のつながりを大切にしているんですね。日本も昔、里山とまちとが一体だったのですが、20世紀になってから里山を忘れてしまって久しいです。それをもう一回つなぎ直すきっかけとして、話題性のあるプロジェクトだと思っています。
敷地に関しては、これだけ低層部と庭部分を広く取れる敷地はそれほどありません。庁舎の本体部分に関しては、経済性などを考慮すると外観部分に大きな自由度はないのですが、市民交流スペースが位置する低層部分は山並みを生かした空間づくりができると思います。ですので、市民ゾーンにどういった機能を入れるのか、どういう庭にしていくのかは、市民の皆さんと一緒に考えていきたいと思っているんですよね。庁舎を含めて良いまちにしていけるかどうかは、市民の皆さん次第と言えるでしょう。
市役所というのは、住民の生活を総合的に支える施設ですから、「みんなでつくっていく」ということにとても向いている建物なんです。実際に庁舎を建てるまで3年近くありますから、最後はみんなでつくったと言えるものができたら最高ですよね。ワンチームで庁舎をつくっていくスタートだと思っていますので、皆さんと楽しく会話をしながらつくっていけたらと思っています。

上記の記事は、座談会における発言を分かりやすさのために組み替えて再構成したものです。

■[参加者募集]あなたの市役所を考えるきっかけに。~新庁舎基本設計説明会・シンポジウム開催~
市では、令和9年度中の新庁舎開庁を目指して設計を進めています。
昨年9月から検討を進めていた基本設計案が完成しました。
基本設計案では、皆さんの「こんな過ごし方をしたい」「こんな使い方をしたい」を想定した空間イメージも作成しています。
皆さんの居場所の一つになるかもしれない庁舎空間のあり方や使い方を、この機会に一緒に考えてみませんか。

▽第一部 これまでの取り組みと今後の予定(那須塩原駅周辺整備室) 講演・基本設計説明(隈研吾氏)

▽第二部 シンポジウム
テーマ:「まちづくりと新しい公共建築」
登壇者:
・(株)安井建築設計事務所代表取締役社長 佐野吉彦氏
・(株)隈研吾建築都市設計事務所 隈研吾氏
・那須塩原市長 渡辺美知太郎

日時:3月17日(日)午後1時30分~4時(午後1時開場)
場所:GUNEI三島ホール
対象:誰でも(入場無料)
定員:400人
※定員を超えた場合は抽選。
申込方法:右の市ホームページの応募フォームから必要事項を入力して送信(電話での申し込みも可)
※二次元コードは本紙またはPDF版をご覧ください。
申込期限:3月8日(金)

申し込み・問い合わせ:[本]那須塩原駅周辺整備室
【電話】0287-73-5175

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