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2050 Sustainable Vision那須塩原~環境戦略実行宣言~(3)

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栃木県那須塩原市

~前ページの続き~

武内:最近、我々の専門分野で、プラネタリーヘルス(地球環境と人の健康が相互に影響しあっているという考え方)という言葉が使われ始めています。
従来から、「地球の制約の中で生きていく方策を考えよう」という、プラネタリーバウンダリー(地球の限界)という考え方がありましたが、それだけではなく、「環境制約の中で生きていることが、むしろ豊かな社会作りにつながる」ということです。経済成長と環境破壊をディカップル(切り離し)できるような社会構造にすることが重要ではないかと、特にポストコロナの社会で非常に強調されるようになりました。
今回の国の環境基本計画の改定の中に、私はあえてプラネタリーヘルスを入れるよう提言いたしました。国の政策にプラネタリーヘルスが採用されたことは非常に画期的だと思いますね。

渡辺:やはり、これから本市で地域の魅力、付加価値を高めていくために、環境政策をより進めていきたいですね。
そのためには、自然共生の取り組みを市役所だけでなく、市民や企業に参画していただくことが重要だと感じています。
那須塩原市という中都市が、地域において三本柱を打ち出すことの意義について、武内先生はどのようにお考えでしょうか。

武内:都会だとセクター別に議論の範囲が限定されますよね。経済界だと経済活動、自治体は自治体経営、市民社会は独自の市民活動というように。それらを全部つなぐような仕組みが、非常に重要だと思います。つまり、同質な集団から多様な集団をどうやって形成するか。那須塩原のようなちょうどよいサイズの地域は多様な集団を作りやすく、それぞれの役割を担いながら、地域全体の底上げをしていける。
結果として、自然を大事にすることが、経済成長にもつながる社会づくりをしていく、そういう話が非常にしやすい地域ではないかと思いますね。

渡辺:私が環境政策を取り入れたときは、我慢を強いるものといったイメージが強かったので、市民の皆さんの生活がより豊かになるということを発信していきたいです。
最近は、さまざまな分野の企業からネイチャーポジティブなどの分野で連携したいという話をいただきます。そういう話から、企業誘致にもつながるかもしれない。
環境政策に取り組むことによって、より豊かになっていくことを目指します。

■環境戦略部3課の主な取り組み
●カーボンニュートラル Carbon Neutral
▽脱炭素先行地域の構築
・青木地区で、再生可能エネルギーの地産地消などによる脱炭素化の実現と、災害などによる系統停電時に電力供給を可能とする「ゼロカーボン街区」を構築
・住宅、事業所、酪農家などへ太陽光発電設備および蓄電池を導入し、CO2排出量削減と災害への対応力を高める

▽デコ活の推進
「デコ活」とは…脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る活動
エコポイントアプリ「エンジョイecoなすしおばら」
エコバックやマイボトルの使用など、脱炭素につながる取り組みを実施するとアプリでポイントがもらえる!
ためたポイントは特典と交換!

問合せ:[本]カーボンニュートラル課
【電話】0287-73-5651

●ネイチャーポジティブ Nature Positive
《那須塩原市生物多様性地域戦略に掲げる重点プロジェクトの推進》
▽50by30目標の達成
「2030年までに市の面積の50%以上を保全地域とする」という本市独自の目標
・保護地域の拡張に向けた取り組み
・市版自然共生サイトの拡充
・生物多様性保全の取り組みに係る企業などとの連携や支援

▽植生回復・生態系の保全
・保全ゾーンへのシカ侵入防護柵の設置や鳥獣被害防止策による湿原・湿地の植生回復および保全
・越堀・寺子地区における農業生態系の保全

▽特定外来生物の防除
特定外来カミキリムシによる被害の拡大防止措置、外来植物の駆除など

問合せ:[本]ネイチャーポジティブ課
【電話】0287-62-7141

●サーキュラーエコノミー Circular Economy
▽[官民連携によるリニューアブルの推進]製品原材料を再生材で
市内小中学校の協力で、回収したペットボトルキャップを活用し、学校や市の公共施設で使う「再生材を使用したごみ袋」を民間事業者と連携し製造。製品の原材料に再生材(ペットボトルキャップ)を使用することで『資源循環の見える化』を図り、楽しくリサイクルに取り組むことができる。

▽[廃棄物の資源化の推進]エコナステーションで製品プラスチックなどを回収
公設公民館に拠点回収場所(エコナステーション)を設置。製品プラスチックとペットボトルキャップを資源回収し、再資源化する実証事業を行っている。

▽[製品などの長期利用・有効利用]粗大ごみの再生品販売・民間事業者(「おいくら?」「ジモティー」)と連携したリユース事業
戸別回収した粗大ごみの再生品を長期利用・有効利用につなげる。また、民間事業者と連携した取り組みでは、使わなくなった物をごみとして出すのではなくリユースすることで、ごみを減らし製品を長く利用することができる。

問合せ:[本]サーキュラーエコノミー課
【電話】0287-62-7030

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