その日は、夜になるのが待ち遠しく、まだ日が高いうちからソワソワしていました。「どこから行く?」「隣のおばちゃんちからにしようよ」きょうだいたちと今夜の相談をします。やっと日が暮れ始め、辺りが暗くなるのを待って出発です。空き瓶に近所から採ってきたであろうススキを差し、大きなザルには芋やかぼちゃ、そしてお団子が並んでいます。「あっ、あった」お目当てのお菓子を見つけ、急いで袋に入れ、そそくさと次の家へと向かいます
お月見どろぼうは、十五夜に飾られるお月見のお供え物を子ども達が盗む風習で、この日に限って盗むことが許されていたとされています。また、農作物の実りに感謝する行事で、お月見どろぼうにお供え物を盗まれると豊作になるともいわれています
子どもたちは月明りに照らされながら、自分たちだけで夜道を歩きます。暗闇にドキドキしながらも、次の家、また次の家と一軒一軒回り、途中、他のグループに会うと、自分の方がたくさん取ったとお互いの袋を見せ合います。そんな様子を大人たちはそっと見守り、時にはもう遅いから早く帰れと促しながら、子どもたちに楽しいイベントを過ごさせるのです
今年の十五夜は9月29日(金曜日)です。たくさんのお供え物を用意してかわいい盗人を待つとしましょう。
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