■那須町と近現代の人々 vol.36
12月号は、菱喰内出身の政治家・江戸川用水土地改良区理事長として、りんどう湖建設・観光地化に尽力した平山力男を紹介します。
平山は、大正6年5月に平山寛の長男として菱喰内に生まれました。昭和30年4月、那須町町議会議員に当選すると以後5期連続当選し、総務委員長、民生文教委員長を務めました。また、8・9代目那須町議会議長となり那須町議会の創成期の議員として活躍しました。
また平山は、昭和32年に江戸川用水土地改良区2代目理事長となり、江戸川用水温水溜池(通称・りんどう湖)建設と溜池の観光地化に尽力しました。江戸川用水土地改良区は昭和29年に設立された土地改良区で、菱喰内、桜久保、後藤橋、弓落、渡久保、池田、山梨子、上瀨縫、廻り谷などの地区からなります。この地域の土壌は保水力が弱く、冷害などが多発する地域であったことから、温水溜池(農業用ダム)を建設することによる、水田59haの灌漑用水・21haの開田用水の確保を計画しました。昭和37年に工事が着工され、同39年に江戸川用水温水溜池が完成し、以後開田が相次ぎました。
一方で、完成前からこの温水溜池を観光活用することを考えていたビューホテルの箭内源典は、平山らの同意を得て昭和39年に那須興業株式会社を設立し、翌40年にりんどう湖ファミリー牧場が営業を開始しました。ここに農業用ダムと観光施設の両輪をもつ温水溜池が完成し、現在も「りんどう湖」は那須町の農業・観光を支える重要な場となっています。
平山は江戸川用水温水溜池が農業と観光の両輪で回り始めた昭和47年に亡くなります。現在りんどう湖ファミリー牧場内には、「平山力男氏之像」がひっそりとたたずんでいます。レリーフは旧塩原町出身の彫刻家・佐藤健次郎氏(守子の郷・那須塩原駅にも作品がある)によるもので、この事業に尽力した平山の事蹟が記されています。
りんどう湖を訪れた際には、一度この像をご覧いただいてから、楽しいひと時をお過ごしください。
問合せ:那須歴史探訪館
【電話】74-7007
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