タケノコが顔を出す季節。父は唐鍬、私は肥料袋を持ち、裏山を登る。狭い山道の先にある斜面に竹林は広がっていた。到着するやいなや、父は片っ端からタケノコを掘っていく。私はぷっくりと形のいいものだけを袋に入れ、育ち過ぎてしまったものは、そのまま地面に転がしておいた。「私もアレやりたい」不満げに見つめている娘に気付いたのか、父は「ほら、気をつけろよ」と鍬を差し出した。ずっしりとした感触の鍬は、子どもの私にはまだ容易に扱えそうにない。それでも、見よう見まねでやってみる。タケノコを見つけ周りの土を掘る。根元が見えてきたら、そこをめがけて一気に振り下ろした。ザクッという音とともに刃がタケノコに突き刺さったが、まだ浅い。しかも根本よりだいぶ上だ。2度3度繰り返し、ようやく掘り起こすことができた。
那須町の総面積のうち約63%を森林が占めている。最も多いのは広葉樹林、次いで針葉樹林で、竹林はほんの一部だ。本町の森林は里山林、人工林、天然生林と幅広く、それ故課題もさまざまである。先日、高久小学校6年生がアカマツの苗木を植樹した。直接、自らの手で植えたアカマツには、特別な思いが生まれるだろう。子どもの頃の経験が未来へつながり、課題解決の一助となるよう、これからもたくさんの経験を重ねてほしい。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>