美しい景色を見た。ある晴れた日、辺りがうっすらと明るくなる頃、青く高く広がる空の下に、薄ピンクに染まる山々が映し出された。グレーの影がピンクの輝きを一層引き立たせている。「きれい」窓の外に広がる景色に、しばらく時を忘れ見入った。ふと我に返り、いつもの朝の作業に取り掛かる。ほんの数分後、再び視線を向けた時には、辺りはオレンジ色へと変わっていた
日の出前や日没後に、太陽と反対側の空にピンク色の帯がみられる現象を「ビーナスベルト」という。朝焼けや夕焼けの光が反対側の空まで届き、高い空の青色と混ざってピンク色が現れる。太陽の光がまだ届いていない低い位置では、藍色の「地球影」を見ることもできる
日本の空の色には、古くから親しまれている多くの美しい名前がある。朝焼けや夕焼けに関する「曙色(あけぼのいろ)」は、夜明けの時、太陽で白み始める東の空を思わせる明るい黄赤色をいい、「紅掛空色(べにかけそらいろ)」は、かすかに紅がかった淡い空色のことをいう。また、青空に関する「紺碧(こんぺき)」は、日差しの強い、真夏の空のような深く濃い青色のことをいい、「天色(あまいろ)」は、晴天の澄んだ空を思わせる鮮やかな青色を表している
今年はどんな空が見られるだろう。穏やかになる色や元気が出る色、心がひきつけられる色。空にある、たくさんの色を感じられる年にしたい。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>