日本の森林面積は国土の約7割の約2500万haであり、世界有数の森林国です。那須町においても森林面積が総面積の約6割(2万3千ha)を占めています。
面積ベースで国内の人工林の約6割が50年生を越えて成熟し、利用期を迎えています。この豊富な資源を有効活用すると同時に、循環利用に向けて計画的に再造成することが必要です。
■豊かな森林を守る
森林は国土や水源、生物の保全、地球温暖化の防止、木材等の林産物供給などの多機能を有しています。
しかし、少子高齢化などを理由に森林が適切に管理されず、森林が持つ機能が維持できなくなると町民の暮らしを脅かす恐れがあります。那須町は森林面積が6割を占めており、豊かな森林を守ることで土砂災害等の災害の防止のほか、木材生産での経済効果が期待されます。
こういった現状を踏まえたうえで、豊かな森林を守るための取り組みを紹介します。
■那須町森林整備促進事業費補助金
那須町における森林の整備に関する施策、森林の整備を担うべき人材の育成および確保、その他の森林の整備の促進に関する施策を推進することを目的に、「森林環境譲与税」を財源とする森を育む基金を活用し、町内林業経営体等が実施する各種取組に要する費用の一部に対して補助金を交付しています。
(1)林業担い手技術資格取得支援事業
林業従事者の資質、技能向上に係る資格等の取得および講習会等の費用の助成
(2)林業機械及び労働安全装備品購入支援事業
林業従事者の労働安全に係る装備品等の購入費用の助成
(3)高性能林業機械リース等支援事業
林業従事者の作業効率化に係る高性能林業機械のリース等の費用の助成
(4)林道作業道維持管理事業
林道作業道の維持管理に係る費用の助成
■利用した方の声(那須町森林整備促進事業補助金)
那須町森林組合 事業統括課長
益子 朋之さん
森林は、収穫にむけた成果が出るまで約50年かかります。また、危険が伴う職業ということもあり担い手が不足しているのが現状で、人手不足を補うと同時にコスト削減にもつなげようと高性能林業機械の導入を進めてきました。
使用する機械は購入すると1台約3,000〜4,000万円と高額で、さらに設備投資に時間を要するため、不足している機械はリース会社から借用しています。それでも月々のリース料が1台あたり約35〜40万円かかり、常時4台がリースで稼働しています。そこで「高性能林業機械リース等支援事業」を利用したことで負担が大きく減少しました。現在、町内に登録された事業体は少ない状況で、今後新たに林業事業体が増えた際には「那須町森林整備促進事業費補助金」を紹介していきます。
近年、住宅着工数が減少しており、森林をどのように活用していくかが課題となっています。利用期を迎えた木を伐採し循環、災害に強い山づくりをして森林の持つ公益的機能を発揮させることが重要です。
■町独自で森林の管理も実施しています
◎森林経営管理制度とは
◇森林管理運営制度とは
適切な経営管理が行われていない森林を、「町」が仲介役となり森林の在り方を見極め、森林としての機能を発揮できるように管理・再委託する制度です。
町内の森林のうち、町では管理がされていないコナラなどの「人工広葉樹林」を対象に森林整備を推進しています。また、森林所有者の意向調査に基づきスギやヒノキの「人工針葉樹林」についても間伐等の森林整備を進めています。実際に、松ノ倉地区で人工広葉樹林の皆伐と植林、大和須地区で人工針葉樹林の間伐を行いました。木を伐った後にも、植林した苗が充分に生長するよう下草の刈払いを数年間実施、定期的な巡回など適切な管理を行っています。
■利用した方の声
大和須で蕎麦屋「式右衛門」を経営する
三森 美一さん
代々受け継がれてきた森林。子どもの頃は雑木林で虫捕りなどをした思い出があり、杉、ヒノキを植林したのは40〜50年前のことと記憶しています。
受け継いだものの、管理をするのにもお金がかかり、まだ木材としても利用期を迎える前の木々で、下刈りや、間伐の費用が掛かることから手入れをすることが困難でした。そんな時に知ったのが「森林管理運営制度」です。利用者の自己負担がなく管理を委託でき、森林の管理負担が軽減しました。
町役場からの通知がきっかけでこの制度を知り、これはいい制度だと思いました。
もし同じように森林の管理などで悩んでいる方がいたら、ぜひ「森林管理委託制度」を利用してほしいと思います。まずは悩みを抱えこまないで町役場に相談することが大切だと思います。
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