■はじめに
はいさいぐすーよーちゅーうがなびら。
令和6年3月定例会の開会にあたり、議員各位のご健勝を心からお喜び申し上げますとともに、日々のご精励に対し深く敬意を表します。
令和6年度の当初予算案などの重要な議案の審議に先立ち、町政運営に対する所信の一端を申し述べ、町民の皆様並びに議員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
まず、施政方針を述べる前に、このたび石川県能登地方を震源とする令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。
また、被災者の救済と被災地の復興支援のために尽力されている方々に深く敬意を表します。
被災地では、相次ぐ余震と寒さの中、不安が募る状況が続いておられますが、皆さまの安全と、一日も早い復興をお祈りいたします。
本町としましても、沖縄県や県内市町村の動向を踏まえ、何らかの支援を検討してまいります。
さて、町政運営を進めていく中で重要な国の動向についてですが、昨年閣議決定された骨太の方針の中では、四半世紀にわたるデフレ経済からの脱却、急速に進化する少子化とその背景にある若年層の将来不安への対応、雇用形態や年齢、性別等を問わず生涯を通じて自らの働き方を選択でき、格差が固定されない誰もが暮らしやすい包摂社会の実現、気候変動や新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた持続可能な経済社会の構築など、我々の意識の変化や社会変革を求める構造的な課題に直面している。我が国は、こうした「時代の転換点」とも言える内外の構造的な課題の克服に向け、大胆な改革を進めることにより、新時代にふさわしい経済社会を創造していかなくてはならないとされております。
また、次元の異なる少子化対策として、(1)構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすこと、(2)社会全体の構造や意識を変えること、(3)全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること、の3つを基本理念とされております。
沖縄県におきましては、令和6年度は、「新・沖縄21世紀ビジョン実施計画(前期)」の最終年度となり、施策などの成果の発現が求められる重要な年となります。
このため、変化する社会情勢や県民ニーズを的確にとらえながら、自立的発展と住民が豊かさを実感できる社会の実現を目標とする「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」の取り組みを加速させ、誇りある豊かな沖縄の未来に繋げていくとされています。
昨年を振り返りますと、ロシア・ウクライナ戦争を始め、世界各地で長期化している紛争など、命の大切さや平和について深く考えさせられる年でありました。
一方、嬉しい出来事としては、新型コロナウイルスの状況変化に伴い、外に出て人と笑顔で語り合える機会が増えてきたことではないでしょうか。久しぶりの知人友人との再会や、地域の行事等が各地域で開催されたことで、大勢でイベントを楽しむ時間を享受されたりと、多くの人が待ち望んでいた日々が戻ってまいりました。町民の皆様それぞれにとって、楽しいひとときを過ごすことができたのであれば、嬉しい限りです。
ここからは私の町政運営の基本的な考え方を申し上げます。
本町の自然環境及び景観は近年のマツ材線虫被害により深刻な影響を受けています。健全で豊かな自然環境の保全は町民が健康で文化的な生活を営む上でも重要であり、この恵まれた自然環境を次世代に引き継ぐためにも啓発活動として「ホタルとサンゴの島」宣言を行うなど町民が一体となって保全活動に取り組める環境を醸成してまいります。
長年の懸案事項であった老朽化した学校給食センター及び仲里歯科診療所は、更新の目途が立ち、さらにデジタル化への流れに対応するため行政手続きの押印見直しを行うとともに自治体DX計画も策定しました。
新たなごみ焼却施設につきましても、令和8年度中の供用開始に向けて建設工事がおこなわれています。本町は一歩ずつ着実に課題解決に向け進んでおります。今年度から次期総合計画の策定にも着手してまいります。未来を創造し、本町らしさを追求し、町民のライフステージに即した切れ目のない、個々の状況に対応した総合的な施策を検討してまいります。
子育て世代の経済的負担軽減策として、保育所(園)、幼稚園、小中学校の給食費等について物価高騰による価格改定を据え置いたうえでさらに保護者負担を一部軽減します。
そして、今年は、私の一期目の任期が折り返しを迎えます。町民の皆様との約束である公約を実現し、本町の将来像である「夢つむぐ島~島人みんなで織り上げる未来~」を実現するため、全身全霊をもって取り組んでまいります。
それでは、令和6年度の各分野における施策の概要についてご説明申し上げます。
■農林水産業の活性化
農業振興については、農地中間管理事業を活用した農地の確保、集積・集約化、遊休農地の解消を行うことで農地の有効活用を推進します。また、農業従事者の高齢化に伴い、担い手が減少する中で、認定農業者の確保や新規就農者への営農指導や就農支援を図り、新規参入を促進し農業の担い手育成、定着に取り組みます。
さとうきびの振興については、久米島さとうきび振興協議会と連携し優良苗の普及や収穫作業、株出管理作業、肥培管理作業等の機械化やスマート農業を推進してまいります。
甘しょ及び野菜等については、農家に対して優良苗の普及や病害虫対策、次期作などを支援し生産性及び品質の向上を図り生産拡大に努めてまいります。
花卉の振興については、各団体と連携し、生産拡大に向けた支援に努めてまいります。
高付加価値を高める作物として期待されるコーヒーやバニラ等については、戦略品目への認定に向けて、関係機関と連携してまいります。
畜産振興については、引き続き、優良雌牛の増頭による子牛生産拡大や共済加入の推進を図るとともに、獣医師の確保についてもJA及び生産者と一体となって取り組んでまいります。
農業と並ぶ島の基幹産業である水産業の振興については、現行の「浜の活力再生プラン」が令和5年度までとなっており、新たなプラン策定に向けて久米島漁業協同組合と連携し取り組んでまいります。また、中層浮漁礁の更新整備など漁業の活性化に努めてまいります。
他にも、ウミガメ保護と漁業の共存を図るため、引き続き関係機関と対策に取り組んでまいります。
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