今月号の表紙は、てるしのワークセンターの利用者さんに制作していただきました。
てるしのワークセンターでは、廃棄されるはずだったダンボールを活用し、沖縄の伝統工芸である紅型染めの工程をそのままに、ひとつひとつ手染めをして、ノートや封筒にアップサイクルした作品をつくっています。
■てるしのワークセンターって?
てるしのワークセンターとは、町内にある指定障害福祉サービス事業所で、就労移行支援や、就労継続支援B型での軽作業などの就労訓練を通して、利用者に働く機会を提供しています。事業所で行っている作業の中には、「パン班」「弁当班」「園芸班」そして「軽作業・紅型班」があります。
「軽作業・紅型班」は、作業グループの中でも比較的新しく、2020年から開始しました。週に3回講師の比嘉敏子先生から紅型の染め方を教わり、利用者は平日5日に渡って作品づくりの技術の向上を図っています。
■唯一無二の作品づくり
ダンボールをはがす作業、染色作業、カット作業、納品の準備など、全ての工程をてるしのワークセンターで行っています。布製品に使っている紅型の染料・道具・工程をそのままに、柄は紅型の古典的な柄であったり、自由にデザインをしたり、楽しんだり悩んだりしつつ、全ての工程を丁寧に、「せかいにひとつ」のコンセプトを大切に、心をこめて制作しています。出来上がった作品は、県内のホテルやセレクトショップ、町内のイベント等で販売されています。
■「せかいにひとつ」のはじまり
講師の比嘉先生は、沖縄県琉球紅型後継者育成事業卒業後、工房勤務、並びに就労継続支援の事業所で指導の経験がある25年目の紅型職人です。てるしのワークセンターさんでは、制作から納品までひとつの事業所で完結し、誰もやっていないオリジナルブランドを開発・製作したいと考え、ダンボール紙への紅型染めを始めました。アイテムには祝儀袋・封筒・ポチ袋・ハガキやリングノート等があります。
ノートの中身の用紙については、町内にあり、SDGs加盟企業である『サン印刷』の協力を得て、製本の際に出る端紙を提供してもらっています。
■個性が輝く作品づくり
講師の比嘉先生は、各工程を行う中で、利用者それぞれがストレスなく、気持ちよく、楽しく作業できるように様子を見ながら進めていると話します。
始めは紅型作業に興味を示さない方もいましたが、小さな作品からスタートし、段々と集中できるようになった方、また、黒を多く使用し染めていた方が、今では多色を使って丁寧に表現するようになったりと、利用者の変化もみられます。イベントなどで商品が売れることでさらに自信もつき、仕事としてのプロ意識も生まれてきているように感じていると話されました。
人によって、柔らかな印象だったり、力強い雰囲気だったり、また1枚の作品に約2週間掛けてとても細やかに染め上げる方もいたりと、ひとつとして同じ作品にはなりません。また、固定概念に捕らわれない色使いをされるので、とても個性的で素敵な作品が多くあると教えてくれました。
◆制作風景
(1)ダンボール剥がし
水に浸けて丁寧に剥がし乾かします。
(2)型置き後の色差し
各染人(そめんちゅ)さんたちが心を込めて染色していきます。
(3)作製・仕上げ
乾燥させた後は、各商品サイズに正確にカットしていきます。
◆「せかいにひとつ」作品
・祝儀袋
合格・卒業・新入学に。送る方を思い浮かべ楽しく選んで頂けることを願い製作しています。
・南風原をイメージした作品
リングノートはストレリチア、祝儀袋はブーゲンビレア、かぼちゃ、へちま、スターフルーツがデザインされています。
・2024年の干支に合わせて製作した竜。独特のデザインが評判です。(作・伊集さん)
※詳細は広報紙5ページの写真をご覧ください。
◆「せかいにひとつ」を見る
直近ではルンルンはえばるフェスタ(広報紙P13)でも出展します。
また、てるしのワークセンター(宮平206-1)1階でも販売予定です。お気軽にお越し下さい♪
◎てるしのワークセンター
◎せかいにひとつ作品、制作風景を紹介しています。
※詳細は広報紙5ページのQRコードをご覧ください。
・制作者:渡口真央さん(19才)
コメント:みんなが楽しくなるような色を選んで染めています。最初は色選びが難しかったですが、悩んだら相談しながら、今はイメージ通りに染色できるようになってきました。
・制作者:玉寄光清さん(22才)
力強い色合いが印象的な光清さんの作品。自分で考えて制作することも得意とのことで、イベントに向けて、シーサーの制作も任されていました。
※詳細は広報紙5ページの写真をご覧ください。
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