■南風原町出身青年海外協力隊
城間春香さんインタビュー
前編では、城間さんが青年海外協力隊に参加したきかっけや、派遣先での活動内容、そして南風原町で育った経験が現在の活動にどのような影響を与えているかをご紹介しました。
後編では、現地の人々との交流や派遣前後での自身の変化、そしてこれからの目標に焦点をあてます。特集の締めくくりとして城間さんの思いと南風原町の若者たちへのメッセージをお届けします。
◯1 現地の方々との関わりや、コミュニケーションを通じて学んだことはありますか?また、どのように信頼関係を築いていますか?
チュニジアの人々は明るく陽気で優しい人が多いと感じます。日本人に対して「日本は綺麗な国」「日本人は良く働く」と良い印象を持っている人が多いようです。私が日本人だと伝えると「おー!日本なの!」と明るい反応が返ってくるので嬉しいです。
また、チュニジアの人々は人との距離が近いように感じます。市場に行くと、同じものを見ていた人から「これいくら?」と聞かれたり、バスや電車を待っている時に「何時に来る?」と聞かれることが多く、人に声をかけることに対して抵抗感がないので私も現地の人々に声をかけやすいなと感じています。
さらに、観光地や買い物に行った際にお店の方から「財布と携帯はしっかりとバックに入れるように気をつけて」と荷物に注意するように促してくれることがありました。盗難に遭ってしまうこともあるのだと気が引き締まる思いをした反面、初めて会う外国人の私に対し、このように伝えてくれることに嬉しさを感じました。
普段はフランス語とアラビア語チュニジア方言で会話をしているのですが、現地の人々と会話をするときは、会話を諦めないことと、分かったふりをしないことを心がけています。特に任地に住み始めた頃は、相手が何を伝えたいのか分からず、頭の中が「???」状態になったことが何度もありました。その度に私に分かるようにゆっくり話してくれたり、それでも理解できない場合は翻訳機能を使ったり、とにかく相手や私の伝えたいことをその場で理解し合いたいと考えています。私が諦めなければ相手も諦めずに話してくれます。会話でのモヤモヤを自分と相手の中に残さないことが信頼関係を築くことにつながっているのかなと考えています。
◯2 派遣前の自分と、現在の自分を比べてどのような変化を感じていますか?価値観や考え方にどのような影響がありましたか?
1つ目に、海外での生活や人々に対する不安が和らぎました。派遣前は、「日本と文化も食事も何もかも違う国で生活していけるだろうか、外国人の私に対して現地の人々はどう接してくるのだろうか」と不安でしたが、チュニジアでは優しく、ユーモアに溢れた人たちに囲まれて生活しており、ここに来る前に抱いていた不安は無くなりました。
2つ目に「一度の機会を大切にしよう」という思いが強くなりました。ここで過ごす期間は2年間と決まってるため、訪れる場所やその場所で出会った人々と会話ができるのは「最初で最後かもしれない」と思うようになりました。その場所や人との時間や瞬間を大切にしたいと考えるようになりました。
3つ目に、指導の大変さと面白さに気づくことができました。私は卓球を始めて年経ちますが、1年間を通して卓球の指導者として選手たちと関わること、さらに、卓球をゼロから始める子どもたちや、小中高生を対象に卓球を指導することも初めてでした。結果が出ず、「何かしなければ!良い結果を残さなければ!」とどこか焦っては「このままで良いのだろうかと不安になることもありましたが、同時に自分自身にも期待していたことに気づきました。指導中に私の言語力不足により小学生に対して伝えたいことが伝わらなくてお互い困ってしまうことも多々ありましたが、伝わった時や、選手たちの「できた!」というキラキラした表情を見ると、私まで嬉しくなるのだなということに気づきました。このような小さな成功体験を積み重ね、卓球以外の場面でも「やればできる!」という自信につなげていけたらいいなという想いがあります。練習を積み重ねていくなかで焦らず粘り強く選手と向き合うこと、選手の力を引き出すためにはどのような練習、問いかけをしたら良いか、真剣に考えるようになりました。
4つ目に、外見だけで人を判断しないように気をつけようと思うようになりました。初対面の人に日本以外の国の出身かと聞かれた時に少し寂しい気持ちになることや、私は日本人であることを相手にわかってほしいと考えているのだなと気づきました。そのことがあってからは、相手の出身国を聞きたい時には、国名を言うのではなく、「どの国の出身ですか?」と質問しています。
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