令和6年4月1日に市制施行50周年を迎えます。
■沖縄市と共に歩んできた老舗
沖縄市には創業50年を超えるお店や企業がたくさんあります。戦後の厳しい時代を乗り越え、日本本土復帰や市町村合併などの節目を経験し、好景気や不景気の波を乗り越え、市民と共に歩んできた老舗の数々。今回はそんな沖縄市が誇る老舗の中から、3つのお店から見た沖縄市の変遷を紹介します。
○のぼりや製菓 ー創業1962年ー
1962年の創業以来、洋菓子や和菓子などを製造販売してきたのぼりや製菓。創業者の登弘道さん(故人)が米軍基地のベーカリーで勤めた経験を生かし、県内初のバターケーキを販売したのが始まりでした。
「のぼりやのケーキを食べて笑顔になれる人たちがいることがうれしい、と父はよく語っていました。存続の危機もありましたが、周りが閉めさせてくれませんでした。いろんな人が訪れては思い出話を語っていきました。コザの街と共に育ってきたこの店を自分の一存で辞めることはできません。両親の思いを守り伝えていくことが私の使命だと思っています」
当時から営業を続けているサンライズホテルや浦崎金物店、その他いくつかの建物も健在。店の前にあった京都観光ホテルは広島カープのキャンプ時の宿泊場所で、選手がよくお店にも訪れていたそうです。今はサンエーの駐車場になって、街の様子もだいぶ変わったと二代目の與座美香さんは話していました。
○オークレストラン ー創業1972年ー
1972年の創業時から地域の人々に愛されてきたオークレストラン。米軍基地のバーで働いていた島袋秀雄さんが“この辺は飲食店がないから”と、24時間営業のドライブインレストランをオープンしたのが始まりでした。現在は二代目となる息子の覚知さん、三代目の雄太さん親子で営んでいます。
「何もない通りでしたが、夜中にもたくさんのお客さんが来ていたのを覚えています。経営が厳しく売却話が出た時に、立て直す覚悟で跡を継ぎました」と話す覚知さん。息子の雄太さんも、これだけ長く愛されてきた店をつぶすわけにはいかないとの思いから、跡継ぎを決心したといいます。
うるま市石川方面へとつながる国道329号。現在、通りの周辺には自動車ディーラーやガソリンスタンド、飲食店などの商業施設、住宅も増えて賑やかになっています。
○千広会館 ー創業1967年ー
1949年に創業した「料亭千石」が千広会館のルーツ。その後を引き継ぐ形で具志堅興一さんが1958年に「割烹千広」をオープン。しかし、台風で倒壊し、建て直しをきっかけに1967年「千広会館」が誕生しました。1階はレストラン。2階の和式ホール、3階の600人収容の洋式ホールは結婚披露宴や宴会に利用できる立派な施設でした。現在は息子の高さんが跡を継ぎ、居酒屋やカラオケ、ビリヤード、ピザが楽しめる「千広会館」として営業しています。
「小さい頃は結婚式用の折詰づくりを手伝わせられるのが本当に嫌でした(笑)。近所にはたくさんの飲食店がありましたが、いまはもうほとんど無くなっています。地域に愛され続けてきた店なので、地域ダイニングとしてこれからも守り継いでいければと思います」
会社のオフィスや家電販売店、飲食店などが立ち並ぶ商業エリアとして栄えていたコザ十字路周辺。現在、活性化に取り組む若者たちが魅力的なまちづくりに励んでいます。
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