■アミメカゲロウの受難
昆虫にも、人気のあるもの、ないものがいます。チョウやクワガタなどは多くの人に親しまれた虫ですが、一般にまったく名前を知られていないグループもあり、そういった虫は研究者も少ないです。アミメカゲロウ(脈翅目)もその一つです。
名前が良くありません。アミメカゲロウというと、「カゲロウなんだ!」と言われますが、カゲロウは不完全変態で原始的な川の水生昆虫、アミメカゲロウは蛹になる完全変態昆虫と類縁関係は近くありません。グループに所属するメンバーも、ツノトンボやカマキリモドキと、他の昆虫から名前をもらっていて、統一感もなく混乱をまねきます。
しかしながらよく見てみれば、レースのような繊細な翅をもつ本当に美しい昆虫です。生態も水生から寄生性、アリジゴクのように巣をつくるものなど多様で、付き合ってみると実に趣深い虫たちです。面白さをもっと伝えたいと思い、展示会「地味な虫」の開催を決ました。
(学芸員 刀禰 浩一)
問合せ:沖縄市立郷土博物館
【電話】098-932-6882
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