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自治体の皆さまへ

粟国診療所

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沖縄県粟国村

◆2年間、ありがとうございました。
医師 新村真人
粟国島の皆さま、こんにちは。診療所の新村です。
この度、2年間の診療所勤務を終えて沖縄本島への転勤が決まりました。前任の三宅先生から業務を引き継いだことが昨日のことのように感じられます。歴代のやさしく優秀な先生方からのバトンを受け取るという責任の重さに、不安や心配もありました。しかし、どんな時も地域の皆さまに支えてもらい、粟国での2年間はとても素敵な時間でした。

普段の診療では、病気のことだけでなく時には世間話をするなど、皆さまの調子の良い時も悪い時も多くの時間を過ごしました。「ユンタクしすぎちゃったね~」と笑顔で診察室を出て行く患者さんの背中をお見送りするときは私自身も楽しい気持ちでした。

救急外来では、私の余裕がなく、つらい気持ちで受診した皆さまのご期待にお応えできなかったこともあったと思います。それでも診療所を頼って相談してくださり、ありがとうございました。粟国島では年間20件ほどのヘリ搬送がありますが、消防団のみなさまがいつも迅速に対応してくださいました。おかげさまで多くの方の命を助けることができたと思います。

また、赴任直後には初めてのコロナウイルスの大きな流行がありました。感染拡大予防のために日常生活の制限をお願いすることもあり、不便な思いをさせてしまいました。現在は重症化率が下がり5類感染症となり日常が戻り、大変喜ばしいことです。しかし、今後も定期的に流行は起こり、高齢者の多い粟国島では脅威になり得ます。ぜひ、この経験で身につけた予防法を、臨機応変に活用しながら日常を過ごして欲しいです。

診療所の外では、老人ホームの皆さまとたくさん交流させて頂きました。デイサービスでも、入所スペースでも、職員の皆さまが介護の方法やレクレーションに工夫をこらしており、元気に楽しそうにしている利用者さんをみて「介護のパワー」を感じました。また、ホームに行くと利用者の皆さまが温かく迎えてくださり、行くたびに元気をもらっていましたので、火曜日の回診日以外もついつい足を運ぶこともありました。

また「みまわり事業」の一員として、おひとりぐらしの高齢者の自宅訪問をさせて頂きました。「転んでいないか?熱中症になっていないか?」と心配しながら訪問して、元気そうなご様子を確認できたときは、事業のメンバー(民生課/社会福祉協議会)とともに嬉しい気持ちになりました。生活の状況がひとりひとり異なり、必要な介入方法が異なることを知ることが出来ました。

終末期の方の島内での緩和治療やお看取りを担当させて頂くこともありました。人生の大先輩の皆さまの大切な最後の時間を、主治医としてみさせて頂くことに大きな責任を感じました。おひとりおひとりのこれまでの人生を聞かせて頂き、辛い中でも最後まで頑張られているお姿にとても勇気をもらいました。未熟な私ではありましたが、最後まで主治医として任せてもらい本当にありがとうございました。

休みの日はよくグラウンドで走っていましたが、こどもたちが声をかけてくれて、一緒に鬼ごっこをすることもありました。「楽しいな~」と思いながら、「受診していた風邪症状良くなっているね。怪我して処置したところも大丈夫そうだね。」とこっそりと症状のフォローもしていました。予防接種を嫌がって逃げ回っていた子が翌年に「痛くないよ、平気だよ。」と話していたり、生後2ヶ月で初めての予防接種をした小さな赤ちゃんが1年後には歩いていたり、子供たちの成長を感じることができたのもとても幸せでした。学校の先生方と連携をして子供たちの健康問題に取り組んだり、運動会や学習発表会などで子供たちの頑張りを見ることができたのも、とても良い思い出です。

未熟で至らない点も多い私でしたが、それでも皆さまに頼ってもらい、「どうにか期待に応えたい!」という気持ちで頑張ることができました。そして、地域の皆さまと島で一緒に生活をしながらお仕事をする上で、大きな病院では学べない多くのことを経験させて頂きました。医療以外の多職種の皆さまと協力することや、病気の知識だけでなく患者さんの普段の生活や価値観のことを具体的に考えて治療することなど、粟国島での2年間で大切なことを教えてもらいました。

また、妻と一緒に粟国島に赴任してきましたが、夫婦ともども受け入れてもらい、良くしてくださり、本当にありがとうございました。診療所医師生活のことだけでなく、私達の人生においても素敵な思い出、大きな財産になりました。

正直、粟国島を離れるのはとてもさみしいです。しかし、さみしさに負けず、次の職場でも患者さんのために一生懸命頑張りたいと思います。その時には、粟国島で経験した学びや思い出が背中を押してくれ、大きな力になると思います。

大好きな粟国島の皆さまが、健康に過ごせるようにいつもお祈りしています。改めまして、関わってくださった島民の皆さま、一緒に連携してお仕事をして下さった皆さま、2年間本当にありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。

◆玉城看護師から 2年間お世話になりました
2022年4月から2年間、粟国診療所で大変お世話になりました。
私自身、これまで診療所の経験が無く、離島勤務も初めてでしたので、赴任した時は戸惑いばかりでしたが、島の皆様や行政の方々、社会福祉協議会、特別養護老人ホームさんなどに沢山、助けて頂き、診療所と地域との繋がりを少しずつ学ばせて頂きました。
診療所での楽しい会話や、往診で見せてくれたリラックスした笑顔、ホームでの入居者さんの人間性、ディサービスでの笑い声、毎日が新鮮で貴重な時間を過ごす事が出来ました。
診療所では内服薬の指導等を、もう少し時間をかけて提供したかったのですが、なかなか出来ず申し訳なかったと思います。又、地域の行事や清掃活動などへの参加も出来ないまま転勤となり心残りも有りますが、粟国島で過ごした温かい思い出を大切に又、頑張っていきたいと思います。
皆様から沢山の笑顔を頂き、感謝いっぱいの2年間でした。本当に有難うございました。

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