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[文化財コラム]激戦地だった西原を伝えるモノ

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沖縄県西原町

現在、西原町立図書館のエントランスホールにて、令和五年度平和企画展「激戦地だった西原~首里を守る防衛ライン~」を開催しています。七八年前の沖縄戦時、西原には、首里城地下にあった三二軍司令部を中心とした日本軍の陣地が敷かれ、日米両軍の激しい戦闘がくりひろげられました。
本展示会では、沖縄戦時下の西原で何があったのか、米軍上陸から首里司令部の陥落までを地図で見られるパネルを作成し、西原での戦闘状況を、住民の証言を交えながら展示しています。また、町教育委員会で保管している、町内の戦跡から出土した戦争遺物も展示しています。今回は、この戦争遺物について少し紹介したいと思います。
旧西原村役場壕(町指定文化財/在翁長)からは、砲弾(ほうだん)の薬きょうや釘爆弾(くぎばくだん)、砲弾片等の武器関係や、水筒、名前が刻まれた飯ごう、野戦用と思われるコップ等日本兵の所持品関係の遺物等の他、壷屋焼の碗や、スンカンマカイと呼ばれる、戦前まで沖縄各地で盛んに使用された碗等住民の食器も多く出土しており、これらの一部を展示しています。
上原の区画整理事業で、土地造成工事の際に発見された上原砲兵観測所壕からは調査で、出土したものの中から、軍靴(ぐんか)、ベルトの金具、統制食器(とうせいしょっき)、アンプルなどを展示しています。
棚原の区画整理事業の際に発見され、調査が行われた棚原白河在戦跡壕からは、薬瓶や灯明、体温計などを展示しています。幸地の教会の建築工事の際に発見された幸地陣地壕からは、軍刀、万年筆等を展示しています。また、この場所からは、中央公民館裏に展示されている九六式一五糎榴弾砲(せんちりゅうだんほう)も出土しました。
この他、町内のどこから出土したかは不明ですが、大きな砲弾(ほうだん)や銃剣(じゅうけん)も展示しています。
これらのモノを使っていた人々がどのような人物だったのか、どのように戦ったのか、どのように戦火に巻き込まれたのか、詳しいことはわかりません。しかし、これらのモノは、西原が激戦地であったこと、当時この場所で戦った兵や、巻き込まれた住民がいたことを教えてくれます。写真で見たり、話を聞いたりするのとはまた違う戦争の実態を知ることができます。
八月一五日は終戦記念日です。七八年前の西原で何があったのか、沖縄戦でどのようなものが使用され、残されたのか、平和企画展に足を運び、見てみてはいかがでしょう。
平和企画展「激戦地だった西原~首里を守る防衛ライン~」
西原町立図書館エントランスホールにて九月三日まで開催中。
参考文献:『西原町史』第五巻資料編四「西原の考古」/西原町教育委員会・資料にみる西原ビジュアル版~移りゆく西原の空のもとで~/西原町教育委員

お問い合わせ:文化課 文化財係
【電話】944-4998

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