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文化財コラム

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沖縄県西原町

■小波津七年まーる村遊び 10月1日開催
村遊びは、村の神々に五穀豊穣を感謝し豊年を祈願するため、アシビナー(遊び庭)などで演じられる奉納舞踊で、旧暦の八月十五日前後に催されます。
その日は、長者の大主、ミルク加那志、獅子などの来訪神を招来し、村人たちによる村遊びが華やかに執り行われます。
演目は、人間生活の中で最も理想的な姿である福禄寿の徳を兼ね備えた長者の大主で始まります。続いて狂言(ちょうぎん)、ヤナムン(悪霊)を百獣の王である獅子の力によって祓う獅子舞、常に若々しい生命力を観客に与える若衆踊、薩摩流れで江戸の匂いを充満させた二才踊、勇壮な棒踊、沖縄古来の信仰を首里親国の士族の姿で登場させた女踊、明治以降に作られた劇の狂言、最後に英雄らの興亡をドラマ化させた組踊を演じて終ります。
村遊びを催しているのは、幸地、棚原、翁長、小那覇、我謝、小波津などで、特に今年は、小波津で七年まーる村遊びが開催される年にあたるため、小波津の村遊びについて紹介します。
もともとの小波津の村遊びは、すべて男性が行い、様々な踊りや組踊、狂言、獅子舞などが俄か造りの舞台で演じられていました。
村遊びを開催するには膨大な費用を費やしたので、明治末期ごろから七年まーる(六年越し)で開催されるようになりました。
一九五七年(昭和三二)頃までは、旧暦の八月十三日から十五日までの三日間開催していましたが、一九六七年(昭和四二)からは生活形態の変化により、旧暦八月十五日の一日のみの開催となり、ついには、一九七五年(昭和五十)の開催を境に途絶えてしまいました。
しかし、小波津の伝統芸能の伝承に関わられた先輩方や小波津区民の熱い思いから、二○○五年(平成十七)に小波津伝統芸能保存会が中心となって復活させ、今回は、二○一一年(平成二三)、二○一七年(平成二九)に続く開催となります。
今回の演目は、舞踊(かぎやで風、小波津音頭、赤田花風節)、棒・獅子舞、狂言、教訓歌劇(新垣松三物語)、組踊(父子忠臣)となります。
特に、村遊びの最後を飾る「父子忠臣」は、夜戦で討ちとられた主君の仇を討つべく、離散した忠臣が恩納山で出会い、そこで仇を討つ物語で、忠臣の兼本大主と山城の比屋父子の立ち回りや踊り、長台詞(ながぜりふ)の掛け合いなどが見どころになっています。
他にも、狂言や教訓歌劇は、プロ顔負けの演技で、「小波津音頭」は、区民が創作し、「赤田花風節」は、同区に伝わる歌と踊りがあります。また、棒・獅子舞は、鋭い眼光と低い姿勢で邪気を払う演舞になっており、小波津独特の伝統芸能が披露されます。
開催日は、十月一日ですので、是非、この機会に地域の伝統行事に触れてはいかがでしょうか。
(参考文献)「沖縄大百科事典」「西原町史」「小波津誌」
※各地域の村遊び開催については、各自治会に問い合わせ下さい。

お問い合わせ:文化課 文化財係
【電話】944-4998

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