■唱(とな)えことば
みなさんは沖縄の「唱(とな)えことば」をご存じですか?
唱えことばとは、一種の「まじないことば」のことで、昔の人々が何か異変があった時、又は夜道を歩く時、或(ある)いは屋内、屋外等で行事などを行う時、悪霊を払い、災難をさけるために、生活の中から生み出したものです。
三世代世帯の家庭では、もしかすると聞いたことがあるかもしれませんが、知らないことばもあるかと思いますのでいくつかご紹介いたします。
(1)チョーチカ チョーチカ
地震がおきた時に唱えた。真偽の程はあきらかでないが、昔地震がおきた時、浦添の経塚(きょうづか)は被害が少なかったということから、経塚(きょうづか)をまじないことばにしたという。
(2)クスクェー
赤子(あかご)がくしゃみをする時は、悪霊が来ているのだということで、母親や傍らにいる人が「クスクェー」と唱えて悪霊を払(かたわ)ったという。
(3)アンマー クートー ターガンンーダンドー
幼児を連れて夜道を行く時は、中指につばをつけてそのひたいにぬり、悪霊や魔性のものから守るという意味で唱えたという。
(4)アジヌ ムーク アジヌ ムーク
昔は部屋を掃くのは朝にすべきで、夜にすべきではないと言われていた。やむをえず掃く時は、「按司(あじ)の婿が来るから…」と唱えながら掃いたという。
(5)マブヤー マブヤー ウーティ クーヨー ヤー アトゥ ナイネー ナンチチャーメー クィラリーンド
子どもなどが、原因不明の食欲不振や不元気などの時、何所(どこ)かで驚いたために霊魂が落ちたのだとする俗信から、その場所へ行って、霊魂籠(まぶいごめ)の行事をした。その時持っていった子どもの着物にマブイを招(しょう)じ入れる時に唱えた。
いかがでしょう、聞いたことありませんか?どの「唱えことば」も、愛しいわが子や家族を邪気などから守りたいという当時の人達のやさしい思いが伝わります。
方言はなかなか自然には出てきませんが、その思いは引き継いでいきたいものですね。
※西原町史 第四巻 資料編三 西原の民俗より引用
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