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獅子が舞う 八月十五夜

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沖縄県那覇市

獅子舞は五穀豊穣(ムズクイヌユガフー)と悪疫払い(フーチゲーシ)のために行われる民俗芸能です。現在は家内安全や商売繁盛も願い、道ジュネーでは人々の頭を噛み、嘉例(カリー)を付けて回ります。獅子は地域の守護神とされ、普段は獅子屋(シーシヤー)や神棚などに祀られていますが、旧盆のある旧暦七月や悪鬼の横行する月とも言われる旧暦八月に、災厄を祓(はら)う獅子舞(シーシケーラシ)が演じられています。
また旧暦の八月十五日は、農耕が盛んだった琉球王国時代から大切な日とされ、八月十五夜(ハチグヮチジューグヤ)には豊年に感謝し地域の安全や人々の健康を祈願する十五夜祭が行われてきました。

■演者インタビュー

◇比嘉 敬(ひが たかし)さん
末吉町獅子舞保存会

獅子舞の演舞を通して、人々の邪気を払い、地域の繁栄を祈願し、見ている方々に喜んでもらえていると感じます。
末吉町の神獅子は地域の守り神のため、町外に出すことはありません。神獅子の演舞は十五夜祭でしか見ることが出来ず、年に一度のこの機会を、子どもから高齢の方まで大勢の方が楽しみにしてくれています。
獅子舞保存会は、ここ数年は担い手不足が悩みで、自分たちが携わらなければ衰退する可能性があると感じます。先輩方が受け継ぎ守り続けてきた演舞を、演者として習得し、次の世代に継承していきたいと練習に励んでいます。十五夜祭以外の祭りやイベントにも参加し、神獅子とは別に作ってある交流獅子で演舞しています。後輩たちのためにも、末吉町の獅子舞をより多くの人に見てもらいたいですね。

◇目黒 仁士(めぐろ じんと)さん
首里真和志町獅子舞保存会

地域の守り神としての獅子頭を小学生の頃から見ていたので、保存会を立ち上げ獅子舞の復元を目指す話を聞き、自分も関わってみたいと思い演者をしています。戦時中に途絶えてしまったものを、文献を元に試行錯誤を繰り返しながら復元を進めているため、簡単にはいかないなと思うこともありますが、演舞を見た方から拍手や「格好良かった」の声をもらうと、やっていて良かったなと思います。
継承が途絶える前の姿に、少しでも近づくべく、他の地域の獅子舞の動きを観察したり、文献や獅子の置物などから型をイメージしたりしています。十五夜道ジュネーは、住民の安全や繁栄、地域の悪霊祓(はら)いや五穀豊穣など様々な願いを込めて獅子加那志(ししがなし)が町内を練り歩く行事なので、地域を巻き込んで獅子舞を続けていくことは、まちの活性化にもつながるのではないかと考えています。

■安謝の旧十五夜祈願祭
9月17日(火)、安謝公民館で5年ぶりの旧十五夜祈願祭が行われました。人々の健康と子孫繁栄、五穀豊穣を祈り、三線に合わせてタケーンゲーヤ、モーヤー小、タケーンゲーヤーヌホーヤー、イミヤー、ヰーシランギー、棒マヤーサー、チュケーンゲーヤー、タチシランギー、マーヰクーヤーと9種の獅子舞が披露されました。獅子はあらゆる災厄から村落を守る霊力を有すると考えられ、額に金色で印された王は百獣の王を表しています。約300年の歴史があるとされ、安謝以外で演舞することはありません。祈願祭ではウスメー狂言(チョーギン)や踊りなども披露されました。

■大嶺の十五夜獅子舞(市の無形民俗文化財)
9月17日(火)、神屋・野呂(ヌール)での祈願後、大嶺の四隅の角で十五夜獅子舞が行われました。字大嶺の守護神として受け継がれている獅子舞は、幸せと繁栄を祈願し、邪気を払って、災難や病魔から人々を守るために行われています。大嶺の獅子頭は県内唯一、両の目が動くもので、鉦(かね)や法螺(ほら)、締め太鼓の音色が響く中、獅子を操るワクヤーと勢いのある演舞を行いました。

■首里末吉町の十五夜祭(市の無形民俗文化財)
9月21日(土)、末吉公民館前広場で十五夜祭が行われました。爆竹のなる中、獅子はドラの音にのせてナーミグイ(庭巡り)、ニドゥゲーイ(二度返り)、メーウチャー(前打ち)、タチゲーイ(立ち返り)、ミミシリー(耳擦)、シーシヌティー(末吉の手)の6つの舞を披露しました。約250年の歴史があり、中高生が担う青年獅子、小中学生のこども獅子もあります。会場には多くの子供たちがあふれ、浦添市勢理客の獅子舞のゲスト出演や旗頭、エイサー、踊りも披露されました。

■首里汀良町の十五夜獅子舞(市の無形民俗文化財)
9月21日(土)、御願ぬ毛(ウガンヌモー)での拝みのあと、町内の家々をまわり商売繁盛などを祈願する町マーイを行い、ふれあい館の舞台で十五夜獅子舞が演舞されました。銅鑼の音色にあわせて、親獅子と子獅子がウーマーイ(大廻り)、ムコーチチンジャシ(向突き出し)、フィサタタチャー(足たたき)、ジュークーイ(尾喰い)、サンカク(三角跳び)、マーイクーイ(毬喰い)の6種の舞を披露しました。500年以上前から続くとされる歴史の長い獅子舞で、王の中の王ということで4本線の王が額に刻まれています。

■首里真和志町の十五夜道ジュネ―
9月15日(日)、真和志町の拝所でもある園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)石門前で奉納演舞を行い、町内の小道をすべて回る十五夜道ジュネーを行いました。真和志町の獅子は雌で、額に三日月が描かれています。言い伝えでは約300年の歴史があり、サルトゥイ(猿取り)、クーチューゲーイ(空中返り)、ユクゲーイ(横返り)、サシディー(差手)、シーサーイー(獅子座)、ワクイディー(誘い手)、マーイクーイ(毬取り)、ウーマーイ(大回り)の8種の舞があるとされています。戦禍により失われたと思われていた獅子頭が、昨年アメリカから帰還するというドラマがありました。

■上間の旧八月十五夜祭
9月21日(土)に上間中央公園で予定されていた十五夜祭は、雨天のため残念ながら中止になりました。画像は昨年のもので、舞台左側に鎮座しているのが、山田真山(しんざん)画伯が製作した獅子頭で、一年間でこの日しか出さず、普段は神獅子として大切に祀られています。上間は年中行事や伝統芸能が盛んで、本尊加那志(フンズンガナシー)とも呼ばれる獅子に対する報恩と祈願の祭祀行事として十五夜祭が行われ、棒や毬でワクヤーが獅子を誘い対決する演舞が披露されます。

取材:秘書広報課
【電話】862-9942

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