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2024新春トーク(1)

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滋賀県

■滋賀県 三日月大造(みかづきたいぞう)知事×石山寺座主 鷲尾龍華(わしおりゅうげ)さん×地域文化プロデューサー「観音ガール」 對馬佳菜子(つしまかなこ)さん
紫式部と「源氏物語」を通して、滋賀の魅力発信の年に!

◆紫式部が生きた平安時代に思いをはせ様々な魅力をもつ滋賀を感じてほしい
今年の大河ドラマ「光る君へ」(NHK)は滋賀に縁のある紫式部が主人公。
三日月知事、石山寺の鷲尾龍華座主、「観音ガール」として文化振興に携わる對馬佳菜子さんに、大河ドラマをいかに観光振興につなげていくか、そして豊かな文化財や自然をはじめとする滋賀の魅力について語っていただきました。

・鷲尾龍華さん
大本山 石山寺第53世座主
2021年12月、大本山石山寺第53世座主(大寺の寺務を統括する首席の僧)に就任

・對馬佳菜子さん
観音ガール東京都生まれ。日本女子大学文学部史学科卒業。2017年に滋賀県長浜市へ移住し仏像を中心とした文化財、歴史文化などの文化振興事業を行う。

◇「光る君へ」をきっかけに滋賀の新たな魅力に光を
知事:滋賀県はこれまでも様々な大河ドラマの舞台となってきました。今回は石山寺に縁のある紫式部が主人公ですね。
鷲尾:紫式部は石山寺で十五夜の月が琵琶湖に映る光景を見て「源氏物語」を起筆したという伝説があり、2024年は大河ドラマ館」が石山寺に設けられます。ドラマの衣装や小道具などの展示とともに石山寺の文化財や四季折々の花、石山の人の温かさにも触れていただけるように工夫して、石山を盛り上げていきたいです。
對馬:私は平安貴族の暮らし、そして紫式部が琵琶湖を経て越前に行った時の様子がどう描かれるのか楽しみです。
鷲尾:石山寺には、紫式部以外にも「蜻蛉(かげろう)日記」や「更級(さらしな)日記」の作者など、たくさんの王朝女流文学者や貴族が詣でているんですよ。今の観光に近い感覚だったかもしれません。当時の女性にとって逢坂の関を越え、舟に乗って石山寺へ向かうのは覚悟がいることでした。そうしてでもお参りしたかった人々の思いを石山寺で感じてもらいたいですね。
知事:お二人がおっしゃるように、戦国時代とは違った滋賀の歴史に光を当てることで、今までとは違った滋賀が見えてくるのではと私も期待しています。

◇知られざる多数の文化財その魅力を伝えるには
鷲尾:石山寺には国宝の本堂・多宝塔をはじめ、古くは奈良時代の文献も含めて何千点もの古文書や絵画などが伝わっています。歴代の方々がそうした文化財を大切に守ってきた、その歴史がすばらしいと思います。石山寺だけでなく、滋賀には貴重な文化財が本当にたくさん残っています。それがあまり知られていないのは非常にもったいないと感じています。
知事:そうなんです!広く知られていない文化財、例えば石山寺の近くでは縄文時代の粟津湖底遺跡(あわづこていいせき)、守山には弥生時代のクニの一つとされる伊勢遺跡(いせいせき)、野洲で見つかった国内最大の銅鐸(どうたく)、紫式部や松尾芭蕉が近江で詠んだ歌や句の数々…あげればきりがないほどです。
對馬:滋賀では文化財や歴史が地域に根付いていて、直接関わりがないように感じがちな景観や古文書も私たちとのつながりが感じられるのが魅力ですね。
鷲尾:四季折々の自然の中で、お寺や神社、人々の暮らしが息づいている滋賀。それをいかに語っていくかが大事ですね。
知事:「語る」、いいですね!
鷲尾:石山寺は早春の梅園から始まって桜、キリシマツツジ、紅葉など、四季折々に美しい「花の寺」としても知られています。梅にまつわるお坊さんの話など、境内を彩る花と歴史が結び付いていることも語っていきたいです。また、石山寺と延暦寺、三井寺も含めて、より広域にわたる地域の方々と連携して包括的に語っていければと思っています。

◇身近な魅力を見つめ直して「シガリズム」を展開
對馬:東京から湖北に移り住んで仏像や文化にかかわる活動をしていて、滋賀の人がすごいなと感じるのは、地域の人が仏像や文化、そしてそれを培ってきた自然環境を、サラッと当然のこととして守っていること。それが何百年、千年以上も続いていることで、他にはない魅力が生まれていると感じます。
知事:恵み、そして時には災いをもたらす自然と共に生きているから、人は「安寧に暮らせますように」と祈る。そうした祈りが滋賀には息づいているんですよね。コロナ禍で改めてこの祈りが生きていくための「光」になると思いました。県ではこうした身近にあるものを見つめ直して、訪れる人に滋賀に流れる時間や地域の暮らしを感じていただき、心のリズムを整える新たなツーリズムを「シガリズム」として進めています。また、熊や鹿の獣害が問題化していますが、獣たちがすめる山に造り直していく営みなどについても考えるきっかけにつなげていきたいと考えています。

◇文学、自然、歴史…「源氏物語」がつなぐ滋賀
對馬:滋賀に来た方に、自然・歴史・文学など自分が好きな一つの分野だけでなく、例えば自然環境の文学への影響とか、他の分野にも関心を向けてもらえる仕掛けがあるといいなと思います。私自身も、歴史や文化だけでなく自然や食文化なども含めた視点を意識して情報発信していこうと考えています。
知事:紫式部は父親と越前に行っていた時期があり、その道中で詠んだ歌碑が白鬚(しらひげ)神社や米原などにありますし、その父親は三井寺(みいでら)で出家しています。江戸時代に野洲の北村季吟(きたむらきぎん)が解説書「湖月抄(こげつしょう)」を記すなど、「源氏物語」は石山寺以外にも滋賀の様々な場所や分野につながっています。對馬さんのおっしゃるように、「光る君へ」を一つの入口として県内各地でいろいろな角度から滋賀を感じてもらえるようにしたいですね。

◇辰年を迎えて考える水の恵みと人の暮らし
知事:今年は辰年。龍神は水を治める神ですから、改めて「水の恵み」に思いを寄せる一年にしたいと考えています。
鷲尾:石山寺には龍神様をお祀りする祠があるんですよ。祠が立つ池に山の水が注ぎ、その池から小川が瀬田川へ流れ出て、琵琶湖へとつながっています。豊かな自然、そして水に恵まれた滋賀で、自然に目を向けて何か感じる機会を石山寺でももっともっと作っていきたいです。
對馬:水の恵みといえば、「琵琶湖システム」が評価されての「世界農業遺産」認定がとてもうれしかったです!自然だけでなく食文化や祈り、祭り、仏様も含めた滋賀が認められたと感じました。
知事:水で琵琶湖とつながる石山寺、その石山寺に平安時代に都からお参りに来た人々の祈り、「世界農業遺産」や「日本遺産」とともに、本県の魅力を発信していきます。

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