【2025新春トーク】
今年、開催される「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」。
今号は、三日月知事、益子直美さん、福永凌太さんに、スポーツの楽しさや魅力、地域との関わり方について語っていただきました。
・日本スポーツ協会副会長 日本スポーツ少年団本部長
益子 直美(ますこなおみ)さん
タレント・スポーツキャスター、元バレーボール選手
TVアニメ『アタックNo.1』に憧れて、中学校でバレーボールをはじめ、全国区で活躍。現在は国スポを主催する「日本スポーツ協会」副会長、「監督が怒ってはいけない大会」の代表も務める。
・パリ2024パラリンピック陸上男子400m(T13)銀メダリスト
福永 凌太(ふくながりょうた)さん
日本体育大学大学院所属、パラ陸上選手
滋賀県野洲市出身。難病である錐体(すいたい)ジストロフィーによって視力が低下。両親に勧められて陸上競技を始めた。パリ2024パラリンピック男子400m(T13)で銀メダルを獲得。次の目標は2028年ロサンゼルスパラリンピックへの出場。
■体育大会からスポーツ大会へ※ 大人も子どももみんな楽しく
知事:今年は、10年以上かけて準備を進めている「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」が開かれる、滋賀県にとって非常に大事なスポーツイヤーです。滋賀県としては昭和56年に続く2回目の開催ですが、全国から来られるアスリートの皆さんに日頃の成果を存分に発揮していただける環境作りに万全を期していきたいと思っています。同時に、スポーツを通して、関わるすべての方の人生を豊かにしたり、街を元気にすることができればと願っています。
益子:私は引退して三十数年経つのですが、現役時代はスポーツを楽しむという感覚がありませんでした。勝利至上主義というか、遠征に出ても体育館と宿舎だけを往復する生活を何十年も続けてしまって、地域の皆さんとのつながりもほとんどなく…。偏ったスポーツをしてきてしまったという後悔と、子どもたちにスポーツを楽しんで欲しいという思いを込めて、「監督が怒ってはいけない大会」を設立しました。この活動では、危険なことや間違ったことをした時はきちんと怒る一方、試合中のミスはチャレンジの結果と捉えて怒ってはいけないルールを設けています。節目となる10年を迎えてわかってきたのは、大人たちが楽しんでいると子どもたちも楽しめる。安全安心だと思える環境が作れるということです。これがまさに体育大会からスポーツ大会という名称に変わった意義でもあり、さらに楽しめる環境になったと喜んでいます。
※「国体」の愛称で根付いてきた「国民体育大会」は、2024年から「国民スポーツ大会」(略称:国スポ)へと名称が変わりました。
■見る側も参加する? 日本と海外で違う観戦スタイル
福永:昨夏にパリで開かれたパラリンピックに出場した際は、あまり連絡を取っていなかった友達から「見たよ」と言われたり、知らない方から「おめでとう」という言葉をもらえたり。世界陸上競技選手権大会とはまた違う注目度でした。現地の盛り上がり方もすごくて、僕のように地縁のない選手が紹介される時も大きな声援を送ってくれました。観客がスポーツの楽しみ方を知っている、同時に運営側も楽しませ方を知っていると感じました。でも、それをパラリンピックという特別な舞台だからと終わらせるのではなく、今後、僕自身の価値をしっかり高めてファンに試合を観に来てもらえる存在になっていかなければとも思いました。
知事:試合の観客数は多かったですか。
福永:僕のレースは朝イチの時間帯でめちゃくちゃ雨が降っていたのですが、濡れてしまうエリアを除いて観客席は3階まで埋まっていました。その時、歓声の圧というものが存在することを体感しましたし、最終日に参加した閉会式も超満員でびっくりしました。
知事:応援を受けた時は気持ち良かった?
福永:ライブをするアーティストの気持ちが分かりました。
知事:ライブ経験、お持ちなんですか?
福永:ないです!あくまで気持ちです!
益子:確かに欧米は応援の仕方が違うんですよ。現役時代、南米で試合をした時、私たちのチームが強すぎたのか、観客が「1セットぐらい取らせてくれよ」と審判にコインを投げたんです。ユーモアがありますよね。日本のファンは行儀が良いので絶対そういうことはないですが、海外では見る側も参加しているという印象を持ちました。国スポ・障スポに関しても、自分たちが作るイベントなんだという意識で盛り上がることを期待しています。
知事:昨年に開かれた佐賀大会でも開会式の入場行進がすごくフランクで、楽しめる環境作りがされていました。応援にもスティックバルーンを使って、エールを交換し合う雰囲気になっていましたね。
福永:僕は、棒高跳びをやっていた高校時代に和歌山県と岩手県で開かれた国体に出ました。当時は、視力への不安もあって少し神経質になっていたので、応援に戸惑う気持ちもあった気がします。でも、今は応援で会場を盛り上げてくださることを嬉しく思います。
知事:会場はもちろんですが、滋賀県に来られると同時にスポーツのワクワク感を感じていただけるような空間も創っていきたいと考えています。
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