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守山てんこもり

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滋賀県守山市

■3手先を読む将棋の世界、人の心も考えられる人に
吉身学区こども将棋教室 岩井繁治(いわいしげはる)さん

日本古来の伝統文化であり、ゲームでもある将棋は、静かなブームになっています。
今回は、吉身公民館で毎月1回子どもたちが集まる「吉身学区こども将棋教室」の講師を務める岩井繁治さん(吉身三丁目)を取材しました。

◆強さよりふれあい重視 児童の育ちが主眼の教室
岩井さんが講師を務めている将棋教室は、吉身学区まちづくり推進会議青少年健全育成部会が主催しています。
教室の目的は、将棋が強くなることよりも、放課後の子どもたちを見守り、日本の伝統文化にふれあってもらうこと、ふれあいを通じて人としての成長につなげることです。
そのため、アマチュア四段の腕前で県大会に何度も優勝し、プロ棋士と対局した経験もある岩井さんのほかに、青少年健全育成部会の水谷 正道(みずたにまさみち)会長をはじめ将棋をたしなむ部会員、将棋をあまり知らない部会員などもボランティアとして参加し、子どもたちとふれあっています。
教室に通うのは、駒の動かし方が分からない初級レベルから、対局できるようになった中級レベル、詰将棋も対局もできる上級者レベルまでの小学1~6年生28人。経験者を対象とする、ほかの将棋教室と違う門戸の広さが特徴です。

◆ハンディはつけても少年棋士と真剣勝負
教室は平成18年に始まり、17年目になります。岩井さんは、教室発起人で初代講師の野崎 政治(のざきせいじ)さんから6年前に引き継いだ2代目講師です。現役時代は生徒指導なども行う厳しい高校教師で、定年後の現在も県内の高校で教鞭(きょうべん)をとっています。
子どもと対局するときは、飛車・角・桂馬・香車と6枚落ちのハンディはつけますが、表情は真剣そのものです。「私は負けず嫌いで、子どもが相手でも勝ちにいきます」と岩井さん。
小学生の指導は不慣れな面もありますが、手加減したり勝たせてもらったりするより、対等に向き合ってくれる大人は、真剣に盤に向き合う子どもにとっては何よりうれしいことかもしれません。
取材にお邪魔した日は、中学生になった卒業生が〝先生枠〟で飛び入り参加し、児童や岩井さんとの対局を楽しんでいました。

◆先を読む盤上の戦いが相手のことを考える成長へ
もう一つ、岩井さんが教師だからこそ感じる将棋と青少年育成のつながりが、「3手先の読み合い」という特徴です。
それは棋士にとって「激しい精神面の戦い」で、消耗しすぎて対局後に動けなくなることもあるほどだとか。しかし、盤上の戦いを離れた将棋の特徴は、「自分の言動に対する相手の気持ちや行動などを考えること」につながります。それは人と人の絆が希薄になってきた現代の子どもたちに、大きな成長の機会となるはずです。

◆棋士として生涯現役 本音で話し、子どもと交流
岩井さんは多趣味で、将棋だけでなくボウリングや囲碁、旅行、子どもたちと同じくゲームや漫画も大好きなのだそう。
「勉強も努力も本当は嫌い。でも、生来負けず嫌いで勝ちたいから勉強する、で現在に至っているのです」と笑っていました。
もちろん遠ざかった趣味もありますが、「棋士としては生涯現役です。だから教室の講師も引き受けました」と話していました。さらに、アマチュア四段の免状を披露して「近年大注目の人気棋士、羽生善治(はぶよしはる)九段・藤井聡太(ふじいそうた)名人連名の免状になったらアマチュア五段を取ろうかな」と、ちょっぴりミーハーな一面も、素直に子どもたちに見せて交流していました。

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