■今も昔も変わらぬデザイン
佐川美術館
学芸員:藤井 康憲(ふじいやすのり)
本号が発行される11月15日(水)は「七五三」ですね。華やかな着物を身に纏(まと)い、地域の氏神を祀(まつ)る神社やお寺に参詣して、子どもの健やかな成長を願う家族の光景は、いつ見てもほほ笑ましいものです。
今では一般的となった七五三ですが、庶民の間で広まったのは江戸時代に入ってからで、当初江戸(関東)の風習であったのが、次第に全国に広がりました。江戸時代の七五三の模様は、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)、鳥居清長(とりいきよなが)、三代目歌川豊国(うたがわとよくに)などの浮世絵師によって描かれ、特に豊国の三枚ぞろいの浮世絵は、三歳の「髪置(かみお)き」、五歳の「袴着(はかまぎ)」、七歳の「帯解(おびとき)」と七五三の由来となったテーマで描かれていて、興味深いものです(ここでは画像を掲載できないので、WEBで検索してみてください)。ここで注目してほしいのは「袴着」の男児の後ろを歩く奉公人が手に持つ千歳あめ。あめの入った絵柄は長寿の祈りが込められた「鶴」と「亀」で、このデザインは、現在の千歳あめのパッケージにもデザインされています。150年以上もの間、変わらないことに驚きですね。
最近はお菓子メーカーのキャラクターがプリントされているものや、かわいいイラストなど〝今風〟のデザインも登場してきて、千歳あめのパッケージ一つとってもアート性やデザインの移り変わりをご覧いただけます。ぜひ注目してみてください。
※開館情報につきましては、ホームページでご確認いただくか電話〔【電話】585-7800〕でお問い合わせください。
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