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佐川美術館アートコラム(71)

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滋賀県守山市

■アートになる虫
佐川美術館 学芸員:上村友理(うえむらゆり)

蝉(せみ)の声で目を覚ます夏、子どもの時は虫取り網を片手に昆虫採集へよく出かけていったものです。蝉、バッタ、蝶(ちょう)などいろいろな虫を捕りましたが、その姿や色彩の美しさ、多様さに驚かされたものです。そんな多種多様な昆虫、実は古来より装飾の素材としても扱われてきました。例えば、仏像や経巻(きょうかん)などを中に納めていたとされる法隆寺に伝来する「玉虫厨子(たまむしのずし)」は、その名の通り玉虫の翅(はね)で装飾されています。他にも、青や緑のキラキラと美しいモルフォ蝶の翅を用いたアクセサリーなど、光沢のある昆虫の翅が主に珍重されてきました。
昆虫の姿形に注目した美術作品も数多くあります。例えば、19世紀後半に流行したアール・ヌーヴォー(植物などのモチーフや曲線を組み合わせた優美な装飾性が特徴的)の時代、ガラス工芸家エミール・ガレやルネ・ラリックらは、蜂(はち)やトンボなどをモチーフにした作品を制作しています。
写真の分野に目を転じると、これまでのモチーフや素材としての美しさに加えて、生物としての美しさがクローズアップされます。マクロレンズ*を通して撮られた昆虫目線の世界は、生き生きとした生命力に満ちあふれ、迫力満点です。そんな昆虫写真を多数展示している「めっちゃ!昆虫展」では、魅力あふれる昆虫の世界を、さまざまな角度からご紹介しています。それぞれに特徴があり、今もなお新種が発見される、小さくても壮大な昆虫の世界をご堪能ください。
*…被写体に近づいて撮影する時に使用するレンズ。

※開館情報につきましては、ホームページでご確認いただくか電話〔【電話】585-7800〕でお問い合わせください。

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