文字サイズ
自治体の皆さまへ

佐川美術館アートコラム(73)

15/52

滋賀県守山市

■建築家・ガウディに学ぶ仕事術

佐川美術館 
学芸員:深井千尋(ふかいちひろ)

働き方が多様化した近年、仕事で戸惑ったり悩んだりすることもあるのではないでしょうか。私は悩んだとき、芸術家の生き方から解決のヒントを得ることがあります。 
その中から今回は、スペインの建築家アントニ・ガウディ(1852-1926)に注目し、その仕事術を紹介します。ガウディの代表作といえば、1882年の着工以来、140年以上建設が続くサグラダ・ファミリア聖堂。多くの職人たちを率いて、この壮大な建築プロジェクトに挑んだガウディの仕事術には、コミュニケーションの秘訣(ひけつ)が詰まっています。 
建築は一般的に図面で表されますが、曲面を多用しているサグラダ・ファミリアは、図面で正確に造形を伝えることが困難です。そこでガウディは、完成イメージを職人たちに伝達するために、建物全体と各部の詳細な模型を作りました。この方法自体は伝統的なものですが、ガウディの特徴は、建物を造りながら模型に修正を加え続けた点です。職人たちは変化していく模型を見て、ガウディの思考の過程まで理解することができました。さらに、美しい模型を見せることで職人のやる気をかき立てる効果もありました。 
このようにガウディは、自身のイメージを伝える最適な手段として模型を用いました。さまざまなコミュニケーションツールがあふれる現代、忙しいときはメールのように手軽な手段に頼りがちですが、一度立ち止まって最適な伝え方は何か考えることも大切です。ガウディの仕事術は、その大切さを現代の私たちに示してくれています。

※開館情報につきましては、ホームページでご確認いただくか電話〔【電話】585-7800〕でお問い合わせください。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU