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守山てんこもり

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滋賀県守山市

■成長の姿に手ごたえと感動
立ち直りを支える守山地区(守山・野洲市)の保護司に聴く

社会復帰(更生)を支援してきた保護司が殺害された事件が大津市で発生し、全国の話題となりました。
ショックを受けたとしながらも、守山地区保護司会(守山・野洲市)の活動をボランティアで続けている、市内の保護司を取材しました。

保護司とは、犯罪や非行などをした人たちの立ち直りを地域で支える民間ボランティアで、法務大臣から委嘱されています。
主な活動は、対象者の保護観察や生活環境調整と、保護司会として立ち直り支援への理解を呼びかけ、犯罪のない地域社会を保つための犯罪予防活動「社会を明るくする運動」があります。

・三品 正親(みしなまさちか)さん 守山地区会長
本業は住職です。先輩の住職に誘われて平成12年に保護司になりました。

・千代 雅人(ちしろまさと)さん 調査研修部会長
保護司になり10年目になります。保護司会研修や自主研修で研さんしています。

・畠中 壽子(はたなかとしこ)さん 保護司
以前は民生委員でした。保護司歴は15年ですが、やりがいを感じています。

◆市内で19人が活動 保護司の活動を知って
三品 正親さん:守山地区保護司会では現在29人の保護司が活動しています。守山市内で活動しているのは、このうち19人です。管内で本来の定数は34人、定員割れとなっていて、なり手不足が課題になっています。そんな折の事件ですし、被害者は尊敬していた保護司なので、皆大きなショックを受けていました。
千代 雅人さん:事件をきっかけに、対象者の面接を公共施設で行うことを可能にするとか、複数担当にするとか、保護司の安全に配慮する動きが活発になっています。また、保護司の活動そのものに改めて目が向けられるようになりました。

◆立ち直りの過程に変化あり 成長の姿に保護司も感動
畠中 壽子さん:定期的な面接や生活環境調整をするのが主な活動で、担当する対象者の地域での更生を支援しています。大切な活動だと誇りを持っているし、担当した対象者が無事に社会復帰を果たしてくれると本当にうれしくなる、やりがいのある活動です。とても責任が重いですが、ボランティアだからこそ、完全な善意でできると感じています。
三品さん:犯罪が縁になっていますが、保護司が担当するのは「社会復帰(更生)できる」と判断された人たちです。挨拶ができないとか態度が良くないとか、問題もありますが、私はこれまで面接に来ている人を「怖い」と思ったことは一度もありません。成長する過程に立ち会い、こちらが心を動かされたりする。それが保護司の醍醐味(だいごみ)だと思っています。
畠中さん:皆さんそうだと思いますが、印象や心に残る対象者がいます。私は対象者が社会復帰を果たして手を離れた後、赤ちゃんが生まれたと写真入りのはがきで教えてくれた時は本当にうれしかった。今も宝物です。
三品さん:私も心に残る人がいます。最初は挨拶もしなかった対象者が、保護観察の解除直前の面接の帰りに振り返って「お世話になりました」と頭を下げてくれた。成長を感じ、この子に関わってよかったと心から思いました。
千代さん:面接を重ねるうちに、とがっていた目つきが優しくなってきて、落ち着きも出てくる。私の目を見て話してくれるようになる。対象者の変化に「じわっ」とくることがあります。更生してくれたらやりがいを感じますが、やはり再犯してしまう人もいます。保護観察の最中でも、解除になった後でも、それが一番つらいことですね。

◆偏見は保護司にも負担 葛藤しながら更生支える
三品さん:対象者本人も社会復帰に向けた意欲をもって保護司の元に来ます。ただ、やはり職場や地域の偏見、冷たい目に耐えられず、過ちを繰り返してしまうことがある。地域の人たちには、偏見を持たずに見て接してほしいと思います。
千代さん:大津市の事件より前に家族から「もうやめて」と言われたことはありました。保護司の家族も第三者の目が気になったり、守秘義務が負担に感じることがあるものです。保護司も人間ですから、心がしんどいことはあります。特に年をとると、対象者どころか自分が約束を忘れているなんてこともありますから。葛藤しながらも「この子が終わるまでは」と、対象者のことが頭から離れず、立ち直りまで支えてあげたいと考えるのです。

◆善意だけでできる仕事に誇り 研さんと愛情が支えるやりがい
三品さん:私は当面、これからも自宅での面談を続けていくつもりです。それぞれ保護司の考え方や、地域性に合わせたり、対象者の希望に寄り添ったりしながら進めていけばいいと思っています。
畠中さん:対象者の多くは、周りの目をとても気にしています。保護司になりたての頃は、面接で何を話したらいいのか悩みもしました。これからも保護司会の研修や自主研修を積んで、刑務所を見学したり立ち直って立派になった人の話を聴いたりしながら活動していこうと思います。仕事ではない、完全な善意のボランティアだから続けられると思っています。
千代さん:対象者には厳しいことも、やさしいことも言うけれど、愛情をもって接すると心がけています。偏見を持たずに接することが、対象者の再犯を防ぐことになるのだと思っています。

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