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佐川美術館アートコラム(80)

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滋賀県守山市

■収蔵品を追いかけて

佐川美術館
学芸員:深井 千尋(ふかいちひろ)

皆さんは、美術館の収蔵品が出張していることをご存じですか。展示される時以外は収蔵庫に保管されている美術品ですが、貸し出しの依頼を受けて、他の美術館の展覧会に出品される場合があります。
佐川美術館が所蔵している彫刻家の佐藤 忠良(さとうちゅうりょう)作《おおきなかぶ》は、2022年7月から2023年7月まで群馬・福島・宮城・神奈川を巡回した『生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良』展に出品され、当館を留守にしていました。貸し出し中、地元の皆さんに鑑賞していただけないのは残念ですが、収蔵品を全国の方々にご覧いただけるのは学芸員にとってうれしいことです。
作品の見え方には、展示室の壁や床、照明などあらゆる要素が影響するため、見慣れているはずの収蔵品でも、他の美術館で展示すると普段と違う表情に驚くことがあります。また、ブロンズ像は同じ型から複数鋳造(ちゅうぞう)できるため、収蔵品と同じ彫刻を他所で鑑賞することもできます。当館で収蔵しているブロンズ像のいくつかは、野外彫刻として各地の街中や公園にも設置されており、自然光の下で見る周囲の景観と調和した姿は、展示室で鑑賞する時とは一味違った魅力を感じさせます。
応援しているアイドル(推し)を追いかけてコンサートのために全国を回る方がいますが、それと同じようにお気に入りの美術品を追いかけてみると、同じ作品でもさまざまな表情を楽しむことができます。美術館で推しの一点に出合ったら、その後も追いかけてみてはいかがでしょうか。

※開館情報につきましては、ホームページでご確認いただくか電話〔【電話】585-7800〕でお問い合わせください。

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