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自治体の皆さまへ

人推協だよりほっと・あい第209号

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滋賀県愛荘町

■自治における人権「地域コミュニティの再構築と生活の中の人権について」
コロナ禍で、行事が開催できなかった各自治会では、地域事業の復活に向けて様々な動きをスタートされています。
自治会の中では、単に以前の事業を復活させるだけでなく、一人ひとりを大切にした地域の絆づくりや、地域課題解決に向けた活動を展開していくべきではないかと考え、アンケートを実施し、地域事業や運営のあり方を検討されているところも出てきました。

■社会の中にある『当たり前』『普通』『常識』が少数の人間にとって生きづらい社会を作っていくのでは?
『当たり前』って何だろう。『普通』って何だろう。『常識』って何だろう。これらは、それぞれ人の中に無意識の内に生まれるものです。それぞれが人生を歩んでいく中で様々な体験をし、自分が今まで体験してきたことや見てきたことをもとにこういった意識は生まれていきます。私たちが暮らす社会の中では、様々な人が生活していますし、すべての人が安心した暮らしを確保できるようにするためには、そのような『当たり前』、『普通』、『常識』を取り除いていかなければならないのではないでしょうか。そんな『当たり前』、『普通』、『常識』を取り除くためには、地域や社会には様々な人がいることを知り、それぞれの立場から物事を考えられるように、広い視野を養っておく必要があります。
ここで、ある中学生の体験を紹介します。

私は、視覚障がいの理解を深める疑似体験の授業で、実際に目隠しして校内を歩いて回るという体験をしました。内容は、ペアを組んで、一人が目隠しをし、もう一人が声掛けをして目的地を目指して校内を歩く体験でした。学校の構造はすべて把握しているつもりでしたが、実際に目隠しをして校内を歩いてみると、そこは全く自分の知らない場所になっていました。ペアの子に「そこに柱があるから気をつけてね」と言われましたが、どこに柱があったのかも分からず、自分がどこを歩いているかが分からないので、不安と恐怖でいっぱいになりました。
特に、階段を降りる際は、一歩一歩が本当に怖かったです。この体験を通して、普段から慣れ親しんでいる学校でもこのようになってしまうのに、車や人も行き交うような街の中を目が見えない状態で歩くのは本当に怖いのだろうなと思いました。

このように、自分とは異なる立場から物事を見たり、考えたりすることで、初めて人は世界を広げることができるのではないでしょうか。街中でよく見る点字ブロックは、視覚障がいのある方にとっては、必要不可欠なものです。点字ブロックの上に重なる形で自転車等が停められていれば、視覚障がいのある方にとっては危険につながりかねないことになります。
そこで、地域や社会の中にある『当たり前』に疑問を持ちつつ、自分とは異なる視点で物事を見たり、考えたりして視野を広げ、自分とは異なる立場の人やその人の持つ世界を理解し、受け入れ、すべての人が暮らしやすいと感じる社会にしていく必要があります。
コロナ禍で自治会活動が停滞したことは、決してマイナスではなく、地域を再構築していく大切なきっかけとして捉え、時間をかけて今までのあり方を再思考していく大切な機会と捉えてみてはいかがでしょうか?

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