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自治体の皆さまへ

人推協だよりほっと・あい第207号

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滋賀県愛荘町

■人権問題研修講座「認知症が私たち家族にくれたギフト」
講師:映画監督 信友直子(のぶともなおこ)さん
6月15日、令和5年度人権問題研修講座(第1回)をハーティーセンター秦荘で開催しました。講師の映画監督信友直子さんから、認知症の診断を受けた母親に代わり、父親が初めて家事や介護に挑む「老々介護」の様子についてエピソードを交えながら分かりやすくお話しいただきました。

▽講師の話について一部紹介します。
認知症をどう感じるかは、捉え方次第です。「できるだけ笑って過ごし、新しい学びを得て、人生楽しんだもの勝ち」と気づいてから、母親が傷つかないように認知症と向き合うことで、家族が笑うことが増えたとお話しされました。
また、信友さんは、父親が何事にも動じず、ひょうひょうと受け止めている姿に驚かされたようです。父親は、今まで母親がしてきた家事を引き継いでやり、嫌みにならないよう鼻歌を歌いながら、家事を楽しんでおられます。母親が朝なかなか起きないことに腹を立てるでもなく、早起きした日には、「今日は早う起きた。えらい!」と褒めておられます。お話を聞いていると、二人ともただ楽しく、一生懸命に生きておられるだけだと感じました。「おっかあの調子がちいと悪うなったけん、わしがやれることはやろう。まあ、年をとったんじゃけん、しょうがないわい。」と認知症を受け止めておられます。
以前は、「人に迷惑はかけとうない。自分の家庭は家族の手で守る。わしにも男の美学があるんじゃ。」という持論を持っている父親でしたが、福祉の専門家や近所の人々に助けられることを経験し、「年寄りにとって社会参加というのは、人に甘えることなんじゃのう。」と考え方が変わったそうです。
信友さんの父親は現在102歳ですが、年を重ねるごとに成長され、その柔軟性は感慨深いものでした。
地域では「お互いさま」の精神で、近所の方に助けを求め、親切にしていただくと、「借りは返さなくては」と思いがちですが、困った人に親切丁寧に接していれば、誰もが安心できる良い地域(居場所)になると思います。町内では高齢者人口が増加し、認知症の方も増加しています。皆さんも前向きに取り組んでみてください。

介護保険の認定があり、医師の意見書で「認知症高齢者の日常生活自立度」がII以上の人。
※IIの方とは、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られ、誰かの注意が必要な状態。

▽参加された方の声
・自分の祖父母と重なり涙が出ました。どこの家庭でも起こりうることで、新たな気づきがたくさんあり、福祉のプロや近所の協力も有効であることや、自分だけで抱え込まないことが大切だと学びました。(20代)
・信友さんのお母さんは幸せだと強く感じました。認知症の問題より、普段の家族の関係がどうあるべきなのか考えさせられました。(30代)
・自分も両親を実家に置いて仕事に来ているので、今後のことも含めてとても考えさせられました。(40代)
・自分たちの地域でも「お互いさま」の地域づくりの必要性を強く感じました。(50代)
・認知症はマイナスではなく、そのことで家族が温かくなれるプラス面で捉えることの大切さを学びました。(60代)
・病気になった本人が一番苦しんでいることを、講演を通じて再認識しました。これからの家庭や地域を考える声をたくさんいただきました。(70代)

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