愛荘町歴史文化博物館には旧愛知実業講習所の日誌が保管されています。今回は愛知実業講習所と日誌について紹介します。
■はじめに
愛荘町立歴史文化博物館には、旧愛知郡役所が所蔵していた資料を保管しています。
郡役所と愛知郡役所所蔵文書の移管の経緯については、広報あいしょう令和5年12月号の壺中雑記(27)で紹介していますので、割愛します。
本館所蔵の「旧愛知実業講習所日誌」は、昭和22年(1947)から昭和29年(1954)まで、昭和24年・昭和27年の欠落はあるものの、約6年分の日誌が残されています。
この「旧愛知実業講習所日誌」の概略について紹介します。
■愛知実業講習所とは?
愛知実業講習所は、もともと郡立愛知実業学校から県立愛知高等女学校へと移管昇格する中で、生まれたものです。
さらに遡ると明治42年(1909)に、私立愛知実業補習学校が設立され、翌年明治43年4月に愛知郡立愛知実業学校として私立から郡立へと変更がされます。その時に女子部も創立される形となりました。
そんな中、大正11年(1922)に県立愛知高等女学校へと昇格する際に、男子は女学校へ移管できないため、愛知郡農会が経営する実業講習所を新たに設置するということになり、愛知実業講習所が生まれました。
■愛知実業講習所の日誌について
本資料の日誌ですが、現代の学級日誌とほぼ同じものとお考えください。昭和22年の日誌を開いてみると以下の項目の欄が見受けられます。
(1)年月日、(2)曜日、(3)天気、(4)時間割、(5)出席生徒数、(6)欠席生徒数、(7)雑件
この書式は昭和23年までとなり、昭和25年から昭和26年までは別の項目であり、さらに昭和28年からは、また違う項目へと変化しています。
また、記載の日にちの始まりが現在と違い、1月1日からの始まりになっています。
昭和28年の日誌の冒頭部には
一、一年間使うものだから大切に扱うこと
二、文字の練習帖の心持で書くこと
三、できるだけていねいに詳しく記入のこと
四、放課後の清掃がすんでから提出すること
との注意書きが記載されています。
■さいごに
今後、愛知実業講習所の日誌を読み進めていくことで、愛知郡下における戦後直後の10代の学生の就学状況や、教育状況や変遷を知る手掛かりになる貴重な史料です。
愛荘町立歴史文化博物館学芸員 新木慧一
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