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りっとう再発見197

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滋賀県栗東市

■旧山口寺の文化財
本市南部の金勝山に建つ金勝寺(荒張)へ参詣する道沿いには多くの寺があり、古くから金勝寺を取り巻く仏教文化圏を構成してきました。金勝寺へと続く西参道の尾根筋の先、荒張の目相(めそう)と呼ばれる地区にあり、平成時代の初期に廃寺となった旧山口寺もその一つです。
ささやかな小堂ながら、重要文化財に指定されている木造地蔵菩薩坐像(平安時代)を始めとする諸仏像や、鎌倉時代に建てられた石造宝塔(市指定文化財)を伝えてきた旧山口寺ですが、その歴史について詳しいことは明らかではありません。木造地蔵菩薩立像は明治33年(1900)に重要文化財に指定されており、その前年には修理を受けた記録があることから、伝来した仏像が古くから注目されていたことがうかがえます。
大正15年(1926)に刊行された『近江栗太郡志』には、地蔵菩薩以外にも「薬師如来、不動明王、広目天、増長天の四古仏あり」と記されています(なお、昭和59年(1984)に、栗東町史編さん事業の一環として調査が行われた時点では、薬師如来以外の4躯の仏像が伝来していました)。
栗東歴史民俗博物館が平成4年(1992)に調査を行った際には、四天王像のものとみられる部材が多数発見されました。それらを組み合わせると、『近江栗太郡志』で「広目天、増長天」として紹介されている2躯の部材を補うことができたほか、これまで存在が知られていなかった四天王像1躯分が姿を現したのです。いずれも平安時代にさかのぼるこれらの像は、平成7年(1995)に開館5周年を記念して開催された「金勝寺展」に出陳され、平成10年(1998)には滋賀県指定有形文化財として指定されています。
旧山口寺に伝来した文化財は金勝寺の所有となり、石造宝塔は金勝寺里坊に、地蔵菩薩と不動明王は金勝寺本坊に移されたほか、四天王像はいずれも栗東歴史民俗博物館に寄託され、現在に受け継がれています。

■収蔵品展「文化財をつなぐ―修復文化財の世界―」
収蔵資料から、さまざまな事例をとおして、文化財の修復について紹介します。旧山口寺に伝来した四天王像も展示しています。
会期:2月25日(日)まで
※詳細はお知らせ版8ページをご覧ください

問合せ:栗東歴史民俗博物館
【電話】554-2733【FAX】554-2755

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