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江戸時代の街道のにぎわいを今に―史跡旧和中散本舗―

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滋賀県栗東市

江戸時代の幹線道路である東海道。草津宿と石部宿の中間に位置する六地蔵村梅木は、立場として、休息する旅人でにぎわいました。
現在、六地蔵の街道沿いに大きな甍(いらか)を誇る重要文化財大⻆家住宅の主屋は、道中薬「和中散」の製薬・販売を行っていました。「和中散」は江戸時代に胃腸薬として全国に知れ渡った売薬です。街道に面して広い間口をもつみせの間には、製薬場があり、天保年間には大きな人車製薬機で実演販売をしていました。大⻆家は和中散販売の商家であるだけでなく、「小休み本陣」として諸大名や公卿など限られた人々への休息を提供してきました。本陣とした書院の背後には庭園を造り、土蔵や茶室が配置されています。旧東海道を挟んでたたずむ隠居所もまた重要文化財。街道に面して設けられた馬繋ぎ、井戸、薬師堂はかつての立場の風景をそのまま残しています。
旧和中散本舗は、江戸時代の商家の様子を今に伝える、産業史、交通史の遺跡として、国史跡に指定されています。

■大⻆家住宅の西みせには巨大な木製の人車製薬機があります。木製の大輪に2人が入り歩いて回すと、大きな歯車が勢いよく回り、薬草を粉砕していました。江戸時代から現存する製薬機は全国でも唯一のもので、令和5年度に日本の機械遺産に認定されています。

■当主 大⻆淳子(おおすみあつこ)さん
街道に面したみせの間の「すりあげ戸」を開けると、開放的な空間が広がります。

(1)庭園(池泉鑑賞式)
書院から鑑賞するように造られた庭園。国名勝に指定されています。
書院の前には池が、その背後には築山が築かれます。上段の間から東を見ると池と松の木の背後に日向山が望めます。植栽された梅は、早春の庭に彩りを添えます。

(2)馬繋ぎ
街道に面して建てられています。旅人の馬をつないだ建物で、馬に乗ったままでも入れるように、屋根が高くつくられています。

(3)薬師堂
江戸時代、梅木立場には数軒の和中散屋があり、それぞれ薬師堂を持っていました。
旧和中散本舗では製薬業を営んだ和中散屋の光景を今に残しています。

旧和中散本舗では、市観光協会により春・秋の2回、特別公開を実施しています。期間中は、予約なしで見学できます。春の公開(5月)では名勝庭園のサツキやカキツバタが見頃になります。コーヒーの販売もあり、店先の腰掛で一息つくと、江戸時代の旅人の気分が味わえます。

■旧和中散本舗
住所:栗東市六地蔵402(予約申込制)
【電話】552-0971【FAX】552-0971
料金:一般500円、小・中学生200円

問合せ:スポーツ・文化振興課文化財保護係
【電話】551-0131【FAX】551-0149

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