■栗太の小国の誕生 栗東の歴史文化ストーリー(I-A)
令和4年に作成した『栗東市文化財保存活用地域計画』で、栗東の豊かな歴史文化の特徴から導き出されたテーマに基づき、10の関連文化財群(ストーリー)を設定しました。原始・古代から現代まで、交通の結節点である栗東の、縄文時代から弥生時代までのストーリーを紹介します。
縄文時代、山河からの恵みを糧に、前期(約6千年前)には辻・高野遺跡などで人々の生活の痕跡が残ります。下鈎遺跡では前期(約5千年前)の竪穴建物が発見され、多くの石器が出土し、霊仙寺遺跡では、中期の土器と多種多量の石器が出土することから、当時の生活が伺えます。狐塚(きつねづか)遺跡では中期から後期(約4千年前)の集落が発見されています。
弥生時代、湖南の地でいちはやく米作りを始めた痕跡が分かるのは霊仙寺遺跡で、約2千5百年前と考えられています。やがてムラがまとまり、中沢遺跡・下鈎遺跡・坊袋(ぼうぶくろ)遺跡などで集落が発展します。後期には、下鈎遺跡や伊勢遺跡で、近畿でも突出した大型建物を持つ小国が誕生します。下鈎遺跡では、銅鏃(どうぞく)が多数出土しているほか、鋳型や銅滓(どうさい)、石杵が出土するなど各地からの資源をもとにして青銅器や赤色顔料を生産していたことが分かっており、各地域の土器が出土し多様な地域との交流が伺えます。
中沢遺跡では、令和6年度の発掘調査で弥生時代の大型建物のほか、川跡から弥生時代末~古墳時代初頭の大型砥石が出土しました。その使用痕跡から大型の鉄製品を研いでいた可能性が考えられ、小国が出現する時代の息吹を感じることができる発見になりました。
■栗東の関連文化財群
歴史文化要素を、歴史的な性格や位置づけに応じて、周辺の環境を舞台に一体的・総合的にとらえたものを関連文化財群とします
問合せ:スポーツ・文化振興課
【電話】551-0131【FAX】551-0149
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